あまり働かないお父さんは心霊スポットばかり行かされる。-始まり-
「働かないんだったら、心霊スポットに行ってもらいます!」
唐突な妻のこの言葉で、全ては始まったのだった。
僕は32歳。妻と三人の子供がいる。
仕事は建築関係の会社で集客業務をしてきた。
だが、会社の環境は僕にとっては耐え難いものだった。
生まれたばかりの三男が保育園に入り、
妻が働けることになった事をきっかけに
僕は仕事を辞める決意をした。
そして、2020年10月30日、僕は会社を辞めた。
そこで冒頭の言葉を妻に言われる事になるのだった。
妻の考えはこうだ。
どうせ暇な時間が出来る事になるのだから、
ずっと行きたかった心霊スポットに行って
その様子を映像に収めてほしいと。
僕は戸惑ったが、
「正直心霊なんてこの現代に何を非科学的な事を言ってるんだ」と
そう思っている僕は、仕事でこれまであまり出かけることも無かった事を思い出し、借りを返したいという後ろめたさからその申し出を承諾したのだった。
かくして僕らの動画をYouTubeへとアップし、家計の足しにしていこうと言うなんとも不純な動機からこの物語は幕を開けるのであった。
妻が最初に目をつけた場所は
僕たちが住む山梨県某所にある
「おむつ塚」と呼ばれる地であった。
その塚に触った者は祟りを受けて死ぬ。
そんな言葉が今でもまことしやかに囁かれている場所だった。
触れると死ぬ?一体どんな祟りが?
僕は単純な好奇心からその場所の謂れを
妻と共に調べていく事にした。
–−第1話「おむつ塚」に続く−−