「リジェネラティブ・アーバニズム展ー災害から生まれる都市の物語(4/9~4/24開催)」開始!
「リジェネラティブアーバニズム展ー災害から生まれる都市の物語」が本日より開始となり、昨日、オープニングイベントに出席してきました。
東日本大震災の経験を活かし、どのように「リジェネラティブ」な都市を構築するのかについて、東北大学、UCLAその他、環太平洋の大学の学生や研究者が7つの都市のあり方について提案しています。
実は、この企画タイトルの「リジェネラティブ」は、今回のプロデューサーである阿部仁史先生(東北大学工学部出身UCLA教授)が主催されてきたxLabという活動の一環としてサマープログラムを2019年に開催された折、当時、日本科学未来館の副館長であった中西忍さん経由でお誘いがかかったことが起点です。その折の記録をブログ等に残さなかったことは痛恨なのですが、画像を発掘しておきます。
このとき、神経科学者の立場で呼ばれた私は、災害レジリエントな都市を考える上で、「regeneration」と「neurogenesis」をいうキーワードをご紹介したのでした。それは、「regeneration」という言葉に、単に「壊れたから作り直す」という意味ではなく、脳の中で生涯続くと考えられるneurogenesis(神経新生)のように、恒常的に、変化しながら、形を保ち続けることが重要。例えば、neurogenesisの低下がPTSDを招く(井ノ口馨先生らのご研究等)を紹介しつつ、建築・都市デザインの中に、もっとバイオロジーの視点を入れられないのだろうか、というようなことを話したのでした。
それが、阿部先生をはじめとする皆様にけっこう刺さったようで、そこから2年半、満を持してこのイベントに繋がったという意味で、自分としてとても嬉しい気持ちでいっぱいです♬
「アーバニズム」についても、阿部先生には単なる「都市デザイン」ではない、もっと地域や生態系等と結びつき、人々の生活を意識した意味を込めているとのことでした。
さて、この展示もまた中西さんのディレクションで面白いものになっています。コンセプトとして7つの未来仮想都市の様子を「井戸を覗き込んで、丸いモニタに流れる動画と響くナレーションを体験する」ことで感じようとするものになっています。
脳科学的には、ただ壁に展示されたモニタを観るよりも、この「覗く」という行為が能動性を生み、よりインスパイアされる、記憶が強固になる可能性があると考えられます。阿部先生はそのようなことまで考えておられなかったようですが、結果として面白い効果を生み出していると思います。
また、未来的な雰囲気のある白い井戸の縁は、空気で含まらせた素材で作られていて、貼り付け型のLEDが下側に仕込まれているので、会場全体を暗くしつつ、床側から柔らかな光が広がり、さらに井戸の中に意識を集中させる効果にも繋がっていると思いました。
オープニングセレモニーでは、ArcDR3 Initiativeという取り組みを繋げて、阿部先生とともにこのイベントを企画された東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦先生もスピーチを。なんと、お二人は東北大学工学部時代の同期で、かたや建築、かたや土木という専攻だったのですね!
プレオープニングのレセプションとはいえ、この時期なので、アルコールは無し。でもお洒落で美味しいソフトドリンクを頂きました! 福島の白桃のジュースにローズマリーを入れたものは、以外な組み合わせでしたが大人の味に! ちょっとリキュール入れてアレンジすると素敵なカクテルになりそうでした。
久しぶりの出張、三井グループお膝元の日本橋室町エリアの変貌ぶりにまたびっくり……。早くまた自由な往来が可能になってほしいと願います。
最後に(英語で言えば、Last, but not least…)、このイベントは昨年2021年が三井不動産創立80周年であったことを祝うという意味もあって、三井不動産株式会社さんが特別協賛となっています。
とても面白いイベントですので、東京の方々はぜひ足をお運びください!!!