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日本国際賞2023授賞式と交流会
日本国際賞は「世界の科学技術の発展に資するため、国際的に権威のある賞を設けたい」との政府の構想に民間からの寄付を基に1981年に設立され、1983年に閣議了解を得て実現したものです。ちょうど40年の歴史となります。
昨年は、コロナ禍の間に授賞式ができなかった3年分の受賞者をお迎えしての授賞式でしたが、今年も新型コロナウイルス感染症に配慮して1時間の中で式典が執り行われました。
「エレクトロニクス、情報、通信」分野では東北大学の中沢正隆博士(災害科学国際研究所特任研究員/電気通信研究所名誉教授)が国立研究開発法人情報通信研究機構 主席研究員の萩本和男 氏とともに「半導体レーザー励起光増幅器の開発を中心とする光ファイバ網の長距離大容量化への顕著な貢献」に関して受賞されました。
「生命科学分野」では「遺伝子操作可能な光感受性膜タンパク質を用いた神経回路の機能を解明する技術の開発」に対して、オックスフォード大学のゲロ・ミーゼンベック 博士と、スタンフォード大学のカール・ダイセロス 博士が受賞。今や神経科学の基本ツールとなったいわゆる「オプトジェネティクス(光遺伝学)」が対象となり、近い分野で研究している身として、とても嬉しく思いました。
ダイセロス博士は、以前に慶應医学賞や京都賞も受賞されていますが、ミーゼンベック博士との共同受賞は、他の賞には無かった組合せですね。授賞式の様子はこちらのYouTubeで見られます。
英語のスピーチの部分はこちらの英語版の方が聞きやすいかもしれません。
ご来賓の参議院議長尾辻議員のスピーチで、どちらの賞も「光」が共通していて輝かしいという洒落たまとめがありました。
従来の式典は、国立劇場で多数の聴衆を招いて2時間くらいかけて行うもので、オーケストラの演奏で始まり、スピーチも長めで、受賞者の生い立ちなどの動画が流され、天皇皇后両陛下が退出される際に、受賞者に言葉をかけていくなどもあったのですが、まだ今年はコロナ対応バージョンでした。受賞者の好きな音楽を演奏する際には、両陛下も客席側で楽しまれたのですが……。
両陛下ご臨席の祝宴は行われず、翌日に交流会が開催されました。なんと、会場の名前が「光の間」というおまけ付き。カールは5人の子どものうち、今回は娘さん2人を伴って来られていました。研究生活は地味なことの積み重ねですが、ごくたまに訪れる「ハレ」の機会が早く復活してほしいと思います。
会場となった帝国ホテルのメインのフラワーアレンジを貼り付けておきます♫
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ちなみに、2014年は今年の中沢先生、荻野氏の受賞と関連する「大容量長距離光ファイバー通信用半導体レーザーの先導的研究」に対して、東京工業大学名誉教授の末松安晴博士が受賞されていました。壇上に、審査委員会の大野英男先生のお顔もありました。