松島の風情
テレビの時代劇に登場する「明け六つ、暮れ六つ」というセリフがある。
松島の風情はこの時間帯にある。従って、江戸時代の文人墨客が松島の風雅を求めて宿泊滞在している。
現在、松島を訪ねる観光客は、この時間帯を除く昼間の滞在なので、風情の乏しい景色を楽しんで帰ってしまう。
「あん」のない「最中」の皮部分を食べているようで味気ない感じがする。
2-3月の月の出が夕方5時から7時頃まで、日の出が朝5:30から7時頃迄がお薦めである。
松島を訪ねた西行には、亡くなる直前に詠んだ有名な和歌がある。
「願わくは花の下にて春死なん あの如月の望月の頃」
陰暦・如月の名月はお釈迦様の命日であり、河内国の陽暦3月には、月明かりの下に桜が咲く風雅を慕った西行である。
仙台郷土研究会理事 京野英一。おくの細道松島海道 代表、みやぎ街道交流会副会長。