復興・防災への想いから生まれたご当地キャラクター【すまいる四郎】
仙台四郎には、復興に向かう地域を盛り立てる可能性がある。だったら、仙台四郎をモデルにご当地キャラクターを作ったらどうだろう。東日本大震災の復興・防災への取り組みにかかわってきた私に、そんな閃きが降ってきました。
ただ、キャラクターの開発に取り組む以前から、私には復興について思うことがありました。今回は、そのあたりの想いから書いてみたいと思います。
より良い復興(ビルド・バック・ベター)ってなんだ?
「ビルド・バック・ベター(Build Back Better)」。災害後、単なる原状復帰を目指すのではなく、被災以前と比べ災害対応能力を強化した街づくり、より良く回復力の高い社会を創ることを指しています。それは具体的に何を意味するでしょう。
分かり易い例としては、防潮堤の整備や、地面のかさ上げなどのインフラの強化があります。失われた設備や、従来は無かった設備を、より高い水準に補うハード面の整備は、もちろん効果的で大切なことです。
けれど、ハード面の復興計画の分かり易さと比べて、ソフト面はどのように “より良く” 復興できるのでしょう。これには法整備・保険・情報技術・訓練・教育など、構造物によらない防災・減災対策が含まれますが、東日本大震災では「心の復興」についても考えさせられました。
では、「人々が精神的にもより良く生きる」ために大切なソフト面の要素とは、そもそも何でしょうか。
次の災害が他所で起きれば、東北は忘れられちゃうよね
「今はまだ世の中の人達みんな東北に注目して支援してくれているけどね。次の大きな災害が他所で起きれば、すぐに関心はそっちに移って、自分達は忘れられちゃうんじゃないのかな」
NGOで復興支援の仕事をしていたとき、被災地でそんなつぶやきの声があると耳にしました。
東日本大震災からの復興プロセスには、たしかに長い歳月がかかります。一方で、テレビ画面やインターネットでは世の中の関心事が、毎日目まぐるしく移ろっていきます。時の流れるスピードが異なるなかで、東日本大震災の被災地が完全に復興するまで、同じ重みで世間の注目を集め続けることは難しいでしょう。
あれ…?「注目」って何だろう。被災地だから集まる注目。他所の災害発生で簡単に移ろってしまうようなそれは、誤解を恐れずにいうなら、気の毒だから注目されている、つまり「同情」によって注目されていることになるのではないだろうか。もし、被災地として注目を集めることで経済的にも観光的にも回復を目指すとしたら、それは被災地が同情されるような状態にいつまでも依存し続けることが前提になっていないだろうか…。
復興に向かう被災者は「サバイバー」
NGOなどが活動する人道支援業界では、人々が「尊厳」を持って生きることをサポートすることが支援の原則とされています。ですから、依存を生み出す支援体制を構築するのではなく、自立を促すための工夫が常に求められます。
被災者が支援者に依存的な状態を常態化するような支援体制を作ってしまうことで、そこで暮らす人々の自己イメージを低めてしまっているのだとしたら、それは被災当事者の尊厳を傷つけることにつながり、心の復興にもマイナスです。
ある日、支援活動のために行動を共にしていた、アメリカからのNGO職員と会話していたときのこと。私は「被災者」のことを「Victim(ヴィクテム)」という単語を使って話していました。
日本語では、災害の影響を受けた人々を表す主な単語として「被災者」が一般的です。英語の「Victim」も、被害者とか犠牲者という意味でつかわれる単語です。
すると、会話がひと段落した時に、その人がこう言ったのです。
「被災者のことを表す英単語としてVictimを使うことは間違いではない。特に、実際に亡くなった犠牲者のことはVictimというよ。けれども、僕は生きて今後の生活を再建しようとしている人々のことは、VictimではなくSurvivor(サバイバー)と言うようにしているんだ。当事者に接する心構えも、単語一つでずいぶん変わってくるでしょう?」
日本語でもサバイバーは外来語として浸透していますが、Survivorには「生存者」という意味だけでなく「逆境に負けない人」という意味もあります。この単語には、困難を乗り越えて生き抜く人々の力強さと、未来へと向かうエネルギーが感じられると思いませんか?
今、支援を受けている被災者の人々は、犠牲者ではなくてサバイバー。二つの単語の違いが与えてくれた新しい視点に、目から分厚いウロコが落ちる思いがしたのです。
「人々」のどんな状態が復興後の理想なのか
ところで、社会は人の集合体ですが、人は無機物としてそこに存在しているわけではありませんよね。人や、人が集う場所には、それぞれの波動、つまり「雰囲気」があります。その正体をうまく言語化することは難しいですが、例えばそこに「感じの良さ」があれば居心地がいいし、淀んだ重い雰囲気を感じれば居心地が悪いものです。
例えば、観光地として根強い人気を誇る魅力的な街、神戸。阪神淡路大震災の被災地でもありますが、多くの人が神戸を旅先に選ぶ一番の理由は、そこが被災地だったからではないと思います。オシャレな街並み、美味しい神戸牛や神戸スイーツに象徴されるグルメ、そして人々の気さくさや優しさなど、街のもつ雰囲気全体が魅力を放ち、多くの人を惹きつけています。つまり、神戸に対して私達が抱くワクワクした感情は、同情ではなくて好感です。
もちろん仙台にも、そして仙台を玄関口とする東北各地にも、同じように魅力的なコンテンツは沢山あります。
それに加えて、私は仙台四郎が人々に大切にされたという物語性が好きです。仙台四郎の笑顔の写真を大事にしている街って良いなと思っています。この【感じの良さ】。なんとなくフワフワしていますが、このイメージをもっと積極的にアピールして、それに対する【好感】を高めたいと思いました。
それは言い換えると、いつまでも被災した悲しみや苦しみというイメージで注目を集める地域であってほしくない、という思いです。災害の経験や教訓は絶対に未来に活かさなければいけないし、私自身も続けて取り組んでいきます。ただ、被災した悲しみ・苦しみへの同情によって県外の人々が東北と繋がり続ける未来像には、しっくりこなかったのです。
「仙台って笑顔の街だよね~!そんな仙台の雰囲気が心地よくて好き」と好感を抱いてくれる人がもっと増えて、そういう口コミが世の中に広まったら。
きっと、ますます多くの人々が仙台を訪れて笑顔になります。地元の人々も、自分達の地域が世の中に提供するポジティブな価値を認識でき、故郷をさらに誇りに感じることでしょう。つまり、人々の自尊心が向上します。
物販拡大や観光促進が加速し、必然的に仙台や県内各地で起業する人や事業を拡大する企業が増え、さらに多くの雇用機会も創出されるはず。
地元の若者も故郷の明るい展望に希望をもつことでしょう。
復興×仙台四郎=笑顔の人、を増やしたい
そんなポジティブな連鎖の歯車を勢いよく回すチカラになりたい。
そのためにも、仙台四郎に象徴される笑顔の街、感じの良い人々に出会える街、雰囲気の良い心地いい街、そんなイメージをもっと発信したい。
そこでまず、仙台四郎を更に親しみやすくする工夫ができないだろうか、と考えました。
そんな想いが、仙台四郎をモデルとするご当地キャラクターを作ろうという閃きと結びつき、誕生したのが【すまいる四郎】です。
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