#267 10分の会話に17万円使ったが後悔していない理由
ゴールデンウィーク最終日、夫が「この本読む?」と話しかけてきた。
私は、「読んだことないけれど、内容はだいたい知ってる。価値あるお金の使い方をしろ!全部使い切って死ね!みたいなことが書かれている本でしょ?だから、いいや、ありがとう」と丁重にお断りした。
その本がこちら。
親から活きるお金の使い方をしなさいと教わった
2020年に出たこの本。
SNSやYouTubeの要約をなんとなく見たとき、私には、当たり前のことが書いてある気がした。
というのも、私は母から次の2つのことをよく言われていたからだ。
①価値あるお金の使い方をしなさい
いま手元にある100万円を大事に持ちつづけるより、その時にしかできない経験に使いなさい。そうすれば、いつか100万円以上のものになって返ってくる。
②お父さんとお母さんはあなたに多くのお金を残すことはできないし、しない
あなたには、これまでたくさんの経験をさせてきた。きっとそれが糧になっているはず。そして私たちも健康なうちに老後を楽しもうと思っている。
子どもの時、何にいくらを使ったのかは知らないけれど、今振り返ると、思い当たることはたくさんある。
おそらく、このDIE WITH ZEROという本は、母の教えに近いことが書かれているのだろうと理解している。
滞在時間24時間以下の函館の往復に17万円払った
数年前、まさにこの教えを体現したと思える出来事があった。
北海道に住む祖父が、もう長くは生きられないかもしれない、次に入院したら、もう退院することはできないだろうという状況になった。
北海道には飛行機に乗って行かねばならず、祖父に会ったのは、私の結婚式に出席してもらった十数年前が最後だった。(年賀状や電話のやりとりは続けていた。)
私はこのタイミングで、おじいちゃんに会っておきたい!と強く思い、「今週末、全員で函館に行くよ!」と家族に宣伝し、すぐさま往復の飛行機と一泊分の宿を取った。
5人家族、往復のチケットと宿代だけで17万円かかった。でも、決済ボタンを押すとき、まったく躊躇しなかった。
タイミング悪く、祖父の入院が早まってしまったこと、コロナ禍であったことなどから、なんと函館到着後に面会できないことが判明。
ただ、職員さんが事情を考慮してくれ、裏口で10分程度だけ祖父と話すことができた。「おぉ!孫もこんなに大きくなったか」という祖父の言葉がなんだか嬉しかったし、一緒に写真も撮れた。
その2ヶ月後、祖父はやはり退院することなく亡くなった。
思い出はプライスレス
当時も、今も、思う。
この17万円の使い方は、間違っていなかった。
むしろ、あの時「お金もったいない」を理由に函館行きをやめていたら、祖父に会うことは叶わず、それを一生後悔したと思う。
我が家にとっては高額だったが、私の心にも、子どもたちの心にも、「最期、函館でおじいちゃん(ひいおじいちゃん)に会えた」という思い出が残った。
思い出すたびに、なんとなく温かい気持ちになるし、この感覚は一生続くだろう。(子どもたちは、初めて飛行機に乗れたことが印象的だったらしいけど)
DIE WITH ZEROを読んでいないので、著者の主張と合っているかは定かではないが、価値あることに、価値あるタイミングでお金を使えたと思っている。後悔はない。
後悔していることもある(おまけ)
夜になり、やはり本の内容を確認したくなった。
夫から本を貸りようとしたら、メルカリに出したらすぐ売れて、既に発送済みだと言われた。せめて、目次だけでも目を通しておくべきだった…。
あの時の17万円は迷わず出せたのに、今、アマゾンで、DIE WITH ZERO(1870円)の購入ボタンを押すには、ちょっとためらってしまう。笑