#200 慢性的な腰痛に対してリリカの使うときの注意点
私は、薬剤師のブランクが6年を超えた医療業界の浦島太郎なのですが、2022年の春に薬剤師として自信を持って復帰できるように、薬の勉強を再開しました。
これは、その記録です。
詳細な情報は抜いて、ざっくりと簡単な概要を理解し、よく使われる薬や、ここ数年で発売された新薬の知識を定着させることを目標としています。
マガジンにまとめていますので、詳しくは、そちらもご覧ください。
処方の背景
男性67歳。度重なる腰痛に対し、かかりつけの内科で下記を処方
・ロキソプロフェン(ロキソニン)
・ケトプロフェンのテープ剤(モーラステープ)
その後、慢性的な痛みに移行してきたため、主治医が内服薬を変更
・ロキソプロフェン→セレコキシブ(セレコックス)
それでも十分な研究効果が得られないため4週間後に下記の内服を追加
・プレガバリン(リリカ)
なお、腰痛診療ガイドライン2019によると、坐骨神経痛に対してはプレガババリンの有効性が認められなかったため、「弱い推奨」としている
今回の問題点
問題点①
プレガバリンは、一般的な腰痛に対しての適応はないが、今回処方されていた
問題点②
患者には腎機能障害がないにも関わらず、プレガバリンが初期用量(1日150mg)のまま継続されていた
※プレガバリンの適応は2つ。(神経障害性疼痛、繊維筋痛症に伴う疼痛)
患者または医師に提案できること
・整形外科など専門医による診断を受けていない。坐骨神経痛などの診断がつく場合があるので、他院の受診をすすめる
・プレガバリンの増量を提案(1日300mg以上)
私の個人的意見・感想
産婦人科担当だったとき、抗がん剤治療をしている患者さんの副作用対策として(指先のしびれ)プレガバリンがよく処方されていました。
カルボプラチン+パクリタキ セル(TC 療法)
パクリタキセル+シ スプラチン(TP療法)
シクロホスファミド+ドキソルビシン+シスプラチン(CAP療法)
このあたりがよく行われており、実際にしびれが軽減した事例をたくさん見ました。
多かった副作用は、やはり投与開始時に見られるめまい。ほとんどの患者さんでめまいの訴えがありましたが、2週間以内に改善していた記憶があります。
1日300mgでコントロールできた人もいれば、最高量の600mgでもあまり効果を実感できない(満足度5点満点のうち、2点くらい)人もいました。
リリカ発売から間もない頃だったので、とても記憶に残っている薬です。
今回の情報元:日経DIプレミアムの「トレーシングレポートの活用術」
本文の中には、さらにトラマドール(トラマール)の使用についても触れられています。
そういえば、抗がん剤治療では、このトラマールをはじめ、トラムセット(アセトアミノフェンも入っているやつ)、オキシコンチンなど、疼痛コントロールの薬はよく扱っていました。
麻薬使用時の便秘や吐き気の副作用対策も、忘れかけているので、そのうち復習したいです。