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【気づき】Vol.1134(2011年8月10日発行のブログより)
徒然草序文。
自己啓発の元祖本。
吉⽥兼好の『徒然草』。
この序⽂が僕は好きだ。
つれづれなるままに、
⽇暮らし硯に向かひて、
⼼にうつりゆく由なしごとを、そこはかとなく書き付くれば、
あやしうこそもの狂ほしけれ。
つれづれってのは、連れ連れで群がってダラダラ同行するってこと。
転じて単調で退屈で変化がないというネガティブな意味に。
でも兼好は更にそれを逆転させて明るく笑い⾶ばしたんだよね。
序文の意味はこんな感じ。
「特に今日もこれといった⽤事もないんだけど、
一人ゆったりくつろいでお茶でも飲んで机の向かって座っている。
心に浮かんだままに何のあてもなく原稿を書く。
書いているうちに、現実と幻想の区別がつかなくなってきて、
ウットリした不思議な感覚に引き込まれていく。
この気分が何ともいえずに最高だ。
他人から見たら異常な光景に見えるかもしれない。
だが私はそうしているうちに本当の自分と対話しているのだ。
人生というものの真実が見えてくるように思えてならない。
独りの時間は、宇宙の扉を開いてくれる。」
こんな生活がしたいな、そう思っていた。
こんな生活ができている人が果たしているのかな。
そう思っていた。
今現実のものとなった。
吉⽥兼好の『徒然草』の約100年前、鴨⻑明の『方丈記』が発表された。
どちらも、
かの清少納⾔の『枕草子』と並ぶ三大随筆として数えられている。
鴨⻑明は出家して山籠りしながら悟りの境地で『方丈記』を綴った。
だから『方丈記』には「かくあるべし論」が多い。
今でいうと学者による机上の空論だ。
まったくその通りで反論の余地がないんだけど、
理想論で元気がなくなっちゃうんだね。
吉田兼好は街で人と交わりながら『徒然草』を綴った。
だから『徒然草』はより実践的だ。
生身の人間をよく観察している。
妥協を許してくれる。
実践的なものはやっぱり古今東⻄問わず、人気が出る。
追伸.
あなたの仕事のやり方は、
『方丈記』ですか?
それとも、『徒然草』ですか?
追伸の追伸.
2番目に好きなのは第35段。
手のわろき人の、
はばからず文書き散らすはよし、
見苦しとて人に書かするはうるさし。
「字が下⼿でも遠慮しないでドシドシ⼿紙を書く人というのは、
大いに好感が持てる。
逆に下手と思われるのはカッコ悪いからといって、
代筆させるようなヤツはカッコ悪い。
単なる⾃意識過剰の嫌なヤツだ」
やっぱり元気が出る文章って素敵だね。
...千田琢哉(2011年8月10日発行の次代創造館ブログより)
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