【1%ノンフィクション】Vol.0940(2010年8月18日発行のブログより)
尊敬しながら、笑った。
「デキル男ってどうして男同⼠で群がらないのかしら」
モスコミュールを片手に乙は呟いた。
「どうせ嫉妬されるからつまらないからだろ」
甲は面倒臭そうに答えた。
いつも面倒臭そうだけど、面倒見はいいのだ。
乙は妙に納得した。
いい加減に答えた甲の回答はいつも的を射ているから乙は好きだった。
甲にならどんなにキツイことを言われても
不思議と腹が立つことがなかった。
確かに男同⼠だと最初に自己紹介をしながら、
必ず相手を上か下かを判断しようとしている。
これは女性同士の熾烈な戦いと同じだ。
結局、男も女もモテる人間は群がらない。
かといって、寂しそうでもない。
そこが複雑で難しいところだ。
「でもいつも独りでいるのに寂しそうな人とそうじゃない人の違いって
何かしら?」
アルコールが程良く回った乙はちょっと妬けて聞いてみた。
「親友がいるかどうかだろ」
また、甲は即答だった。
悔しいけど、これ以上のご名答はなかった。
でも今度の乙は少し不満だった。
2杯目を注文してから、
「親友だけか・・・」
と囁いて見せた。
「同性でも異性でも肉体関係があるか否かだけで同じ親友だろ」
これまたすごい論理だった。
「オレはレズは好きだけどホモは嫌いだ」
甲は吐くように言った。
乙は尊敬しながら、笑った。
隣のカップルの美人も⼀緒に笑った。
隣に座っている男が少し可哀想だった。
...千田琢哉(2010年8月18日発行の次代創造館ブログより)
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