
【気づき】Vol.0800(2010年10月6日発行のブログより)
シンプル。
エレガントであるということは、シンプルということだ。
文芸でもこれは言える。
微に入り細を穿った文章は、たいてい自己満⾜で時間泥棒でつまらない。
分厚い本が売れなくなってきた、日本人の知的水準が低下してきた、
という出版社や著者は多い。
それは、自分たちの自己満⾜が受け入れられなくなっただけ、に過ぎない。
⼀種の職人病だ。
出版業界の不況の本質はここにある。
出版業界に限らず、
すべての業界で自己満⾜が受け入れられなくなってきている。
人生の究極は自己満⾜だから、 それはそれでいいんだけれども、
卑しくもお金儲けまでしたいというんであれば、
やっぱり自己満⾜は受け入れられない、
ってことを受容しなくてはならない。
自分は貧乏になってもいいから、
ひたすら自己満足を貫き通すことができるのだったら、
僕はそれを応援したい、という捻くれ者の側面もあるんだけどね。
文芸に限らない。
この世の中のものは進化すればするほどに、必ずシンプルになる。
数学の世界でも、複雑な公式は程度の低い扱いである。
⼀瞬で憶えることができない公式は、
実はまだ進化の途中だともいうこともできるわけだ。
アインシュタインの、
E=mc²
ほどシンプルで洗練された公式が、この世に存在するだろうか。
僕たちの仕事でもそうだ。
分厚い企画書・報告書を作成して、
悦に入っているほど質の悪いことはない。
経営コンサルタントの世界でも、企画書の作成に時間をかけている人に、
仕事のできる人はいなかった。
びっしりと書き込まれた企画書は、単に自己満足に過ぎないからだ。
企画書の分厚さと自信は反比例する。
そんなに自信がない企画なのか、と心配してしまう。
相手には相手の人生がある。
断言していいが、お客さんは分厚い企画書にだらだらと付き合うために、
貴重な人生を生きているわけではない。
何時間にも及ぶ自己満⾜の極みともいえる、プレゼンテーションがある。
愚かである。
究極のプレゼンテーションは、発表はドン︕と⼀瞬で終わらせて、
質疑応答にとことん答えるものだ。
お客さんとコミュニケーションをするきっかけをつくるのが、
プレゼンテーションだ。
僕がコンサルタントをしていたとき、
コンサルタントとしての仕事のスタンスを学んだ人は、
社内ではなく社外であった。
世界で通用する日本人唯一のグローバルコンサルタント、大前研一氏だ。
大前⽒が企画書・報告書なるものを作成したことがない、
と知ったとき、これだ︕と直感した。
そこに説明は要らなかった。
プロフェッショナルでA4⼀枚でまとめることができない資料は、
犯罪である。
プロフェッショナルではない人ほど、
言い訳がましくて話が長いと相場は決まっている。
準備不⾜だと、資料が分厚くなって説明も長くなる。
書籍も同じだ。
プロローグがつまらないけれども、
本文は面白い本などこの世に存在しない。
最初の1ページ目がつまらないのに、
100ページ目から急に面白くなる本などなかった。
プロローグが主で、本文はむしろおまけなのだ。
僕たちは本を買うふりをしながら、プロローグを買っているのだ。
追伸.
書籍でも講演でも、言い切らない人、究極の話ができない人というのは、
プロフェッショナルではなかったなぁ・・・
泣かせたり感動させたり興奮させるんだけれども、
何も残らない人っていうのは、
自分でリスクを背負って言い切らない人なんだ。
言い切らない人、究極の話ができないと、
話がダラダラ長くなってしまうんだよね。
そういう人に不足しているたった⼀つのもの。
それは、「勇気」 なんだね。
年齢・時代・国籍・性別・社会的地位に関係なく、
地球上にはたった⼆通りの人間しかいないんだ。
今この瞬間、人に嫌われてまで世の中をよくしたいと思わない人。
今この瞬間、人に嫌われてもいいから、世の中をよくしていきたい人。
...千田琢哉(2010年10月6日発行の次代創造館ブログより)
↓千田琢哉のコンテンツ↓
🔷千田琢哉レポート
文筆家・千田琢哉が書き下ろしたコトバを毎月PDFファイルでお届けします。

🔷真夜中の雑談~千田琢哉に訊いてきました~
文筆家・千田琢哉があなたから頂いたお悩みに直接答える
音声ダウンロードサービスです。毎月1日と15日発売!
“毎月1回の飲み代を、毎月2回の勉強代に”

🔷千田琢哉公式チャンネル
「3分の囁き」千田琢哉の独り語りをYouTubeでお楽しみ下さい。