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【気づき】Vol.1087(2011年6月24日発行のブログより)

マルタイの女。

1997年巨匠・伊丹十三監督の遺作。

テレビでも何度か放映されているので、知っている人も多いはず。

『マルタイの女』について。

ちなみにタイトルの“マルタイ”ってのは、
警察⽤語で捜査護衛に指定された人のこと。

犯人集団から命を狙われてしまうような重要証人を、国は守るんだね。

この映画は目を覆いたくなるような残酷なシーンも多く、
デート向きではない。

古⾵な考えかもしれないけど、僕だったら未成年にもあまり見せたくない。

かなり社会情勢を意識した映画となっていて、冒頭の弁護⼠殺人といい、
信者の洗脳のされ方といい、
公開2年前に地下鉄サリン事件で話題となった、
宗教団体と無関係とは思えない。

映画監督も作家もそうなんだけど、 晩年に過激な作品が多くなっていく。

それは世の中に何か生きた証を刻んでいきたい、
本当のことを伝えたいって気持ちが強くなるんかね。

僕が映画も小説も好きな作品は、
フィクションといいながらもノンフィクションが絶対入っているよね、
っていうものだ。

これは面白い。

この映画にも実話が多すぎる。

ありとあらゆるシーンで実話を散りばめているから、
監督や作家は⽂字どおり命がけなんだね。

命がけという意味においては、
伊丹監督は妻・宮本信子さんを通じて訴えたものがあったんだ。

最後に証人として裁判所の階段を上っていく、
宮本信子さんの背中は男前だね。

この姿こそ役者の花道なのだ。

人は背中に生き様が出るということをこの映画で教わった。

人に使われている人の背中。

人の上に立つ人の背中。

勝負している人の背中。

人の背中に隠れて⽯を投げている人の背中。

いろんな背中があるんだよ。

仮に正⾯はごまかせたとしても、背中だけはごまかせない。

だから、子どもは親の背中を見て育つんだ。

追伸.

男も女も、背中を鍛えよう。

 ...千田琢哉(2011年6月24日発行の次代創造館ブログより)

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