【気づき】Vol.0955(2011年2月16日発行のブログより)
陽はまた昇る。
2002年6⽉15⽇に公開された映画
『陽はまた昇る』を9年ぶりに観賞した。
いうまでもなく、家電業界を舞台にしたVHSビデオデッキ開発物語だ。
今回の新しい発見はとっても些細なところだった。
この部分のみを40回くらい繰り返し観賞した。
西田敏行さん演じる主人公の部長が、
松下幸之助さんにプレゼンをした直後、
急いで緊急⼊院した妻のもとへ帰るシーンだ。
わずか10秒足らず。
会社にも家族にも無断で、背水の陣で、
部下の次長と⼆⼈で社有車で勝手に大阪にプレゼンに向かった。
途中のパーキングエリアで公衆電話から、
奥さんが心労で倒れたという知らせを受けていた。
もちろん、頭が真っ白になる。
ショックだ。
部下の次長にはその動揺を悟らせないよう、
プレゼン終了後に病院に直行した。
気の小さい部長にとっては人生最大のやせ我慢だった。
メインとなる概要を部長がプレゼンした。
「経営の神様」松下幸之助に100点満点で150点だと言わせた。
渡辺謙さん演じる次長が残りのプレゼンをするために、
そのまま松下に残った。
プレゼンを切り上げて入院中の妻のもとへ飛んでいく部長と、
そのまま残ってプレゼンの続きをする次長のこの別れ際がいい。
別れ際に部長は振り返らずにそのまま飛行場へ向かう。
⼀⽅で、
⼤卒エリートの次⻑は、
「じゃ」
とプレゼンに戻るふりをしながら、すぐに振り返ってしまう。
そしてずっと最後まで部長の背中を見続けるのだ。
このときの撮影のアングルが僕はたまらなく好きだ。
このエリート次長は高卒部長の生き様と器のデカさを思い知る。
将来この次長は本社で経営中枢を担う幹部候補だ。
今まで⻑いものに巻かれ、
減点されないために必死に気を遣って生きてきた優等生だ。
部長の背中を見て、
今までの自分が信じてきたダサい人生観が⼀瞬で崩壊した。
僕は思うんだよね。
別にビクターではなくても、
すべての会社にはこうした人たちが過去にいて、
今の存続が許されているのだと。
10年存続する会社には、否、会社でなくたっていい、
人でも何でもそうだけど、すべて映画化できるような物語があるのだと。
追伸.
戦の後の庭いじりをする男は、艶っぽい。
...千田琢哉(2011年2月16日発行の次代創造館ブログより)
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