見出し画像

【気づき】Vol.0803(2010年10月8日発行のブログより)

ノーベル賞。

2010年ノーベル化学賞に、北海道大学名誉教授である鈴⽊章氏と、
 パデュー大学教授の根岸英⼀氏が輝いた。

名誉なことだと思う。

最高の頭脳と努力の賜物である。

鈴⽊氏は北海道大学出⾝。

根岸氏は東京大学出⾝。

日本人はノーベル賞受賞者が少ないから、
教育制度に問題があるのではないか?
と今まで散々批判されてきた。

でも、21世紀に入ってからは1年で複数の日本人が受賞するといった、
 20世紀の常識では考えられないペースだ。

ん?

何か気づかないだろうか?

歴代の日本人でノーベル賞を受賞した人たちの、出身大学を見てみよう。

あえて出身大学を見てみるのは、表向きは散々批判されてきた、
日本の受験制度との関連性を一度見てみるためだ。

 さて歴代のノーベル賞受賞者たちの出⾝大学は・・・

東京大学(法)(文)(理)(工)、
京都大学(理)(工)、
東京工業大学(理工)、
北海道大学(理)、
東北大学(工)、
名古屋大学(理)、
長崎大学(薬)。


・・・すべて野暮ったい国立大学ばかりだ。

それらほとんどがランチェスターの法則でいうところの、
⼆位以下に大差をつけている地域ダントツ⼀番店である。

東京工業大学は理工系で地域⼆番店だが、
米国のMITのような存在でオンリーワンの要素が強い。

つまり、孤高である。

長崎大学出身の受賞者の自伝らしきものを読んだが、
時代と環境のせいもあって、
本来九州大学に入学する程度の学力は充分に擁していた、
と断言していいと思う。

まるでお受験の頂点を極めた勝者たちの登竜門、
国家⼀種試験合格者ランキングと酷似している。

だとしたら、次の候補は九州大学あたりの卒業生だろうか。

個人的には、今後北海道大学からまだ輩出され続けるような気がしている。

僕が今まで出逢った北海道大学卒業生たちは、
豪快で努力家で伸びしろが大きい人が多かったように思う。

マスコミで報じられるような、
チャラチャラした日本人⼀般の大学生とは対極だった。

蓋を開けてみると何のことはない、
受験勉強の学力と比例しているのだろうか?
卒業生の数では数十倍という、
圧倒的多数であるはずの私立大学出⾝者は、
 現時点においてただの1人も受賞していない。

欧米はもちろんのこと、世界では、
私立大学出⾝者がノーベル賞を総ナメしているのに。

それにしても・・・いったい、なぜなのだ?

やはり、18歳の段階では文科系・理科系問わずに、
文科系は理系科目、理科系は文系科目といった、
幅広い試験科目の負担から決して逃げることなく、
学力を⾝に付けておいたほうがいいのだろうか?

国立大学入試の受験科目の多さから、
安易に逃げなかったという粘り強い性格の結果なのかもしれない。

何かを深く掘り下げるためには、広く掘らなくてはならないというのは、
ひょっとしてノーベル賞にも当てはまるのだろうか?

僕は世界中のノーベル賞受賞者たちが、
受賞後に出版した自伝をいつも好んで読む。

もちろん、幼い頃から超天才児だった人もいることはいる。

でも、予想外に多かった特徴は以下の2点である。

1.サラブレッドではなく、ギリギリでその国の⼀流大学
(たいてい1億人を超える大国は ベスト10、
小国はベスト3以内の大学!)には何とか滑り込んでいる。

※浪人や留年経験者ともに多い。

2.周囲が呆れるほどに愚直で粘り強い性格

ここで忘れがちなのは、 1だと思う。
2は放っておいてもマスコミで取り上げられたり、
過剰なほどの美談として語り継がれるからだ。

そのため、ほとんどの人たちが、
単に粘り強いだけの凡人のまま一生を終える。

そして、努力そのものを認めてくれと主張する輩までいる。

プロフェッショナルになるためには、1から目を逸らしてはいけない。

もちろん、ノーベル賞の話をしているのではない。
人生すべての土俵について話しているのだ。

どんな分野で勝負するにしても、
スタートラインからスポットライトの外にいるようでは、
お話にならないということだ。

スポットライトの内側にギリギリでもいいから、
入っておくだけの力は必須である。

学校では教えてくれない大切な事実だ。

追伸.

ノーベル賞を辞退した、ジャン=ポール・サルトル(文学賞・フランス)は凄いな。

ノーベル賞という名前が気に入らなかったりして。

まるで自分がノーベルより下みたいで。

サルトルは、
「いかなる人間でも生きながら神格化されるには値しない」という名ゼリフを残しているけど。

追伸の追伸.

勉強ができたからといって、頭がいいとは限らない。

とりあえず、これは正しいと思う。

でもその逆の、頭がいい奴は、ほとんど例外なく、
勉強ができるのもまた事実。

最近はタレントの高学歴化が際立っている。

すべての分野の社会的地位を向上させるには、
最後の1ミリで学が求められるようになっている。

考えてみれば、人類が他の生物より際立って優れているのは、
唯⼀、頭脳だから。

どんなに腕力があっても象はおろかゴリラにも敵わない。

どんなに泳ぎの達人でもマグロはおろかサンマやイワシに敵わない。

どんなに俊足でもチーターはおろか犬や猫にも敵わない。

どんなに高く飛んでも鳥はおろかハエや蚊にも敵わない。

でもごく簡単な加減乗除を、
純粋に思考して人間と同じようにこなせる生物は他にいない。

...千田琢哉(2010年10月8日発行の次代創造館ブログより)

↓千田琢哉のコンテンツ↓

🔷千田琢哉レポート
文筆家・千田琢哉が書き下ろしたコトバを毎月PDFファイルでお届けします。

名称未設定 1

🔷真夜中の雑談~千田琢哉に訊いてきました~
文筆家・千田琢哉があなたから頂いたお悩みに直接答える
音声ダウンロードサービスです。毎月1日と15日発売!
“毎月1回の飲み代を、毎月2回の勉強代に”

真夜中の雑談アイコン Library使用

🔷千田琢哉公式チャンネル
「3分の囁き」千田琢哉の独り語りをYouTubeでお楽しみ下さい。