【気づき】Vol.1156(2011年9月1日発行のブログより)
TATTOO[刺青]あり。
1982年日本映画。
この映画は1979年1⽉26⽇に実際にあった、
三菱銀行北畠支店立てこもり事件をモデルにしている。
実際は立てこもり事件に関するシーンはほとんどなく、
実在した犯人の梅川という男の人生が描かれている。
冒頭は15歳の強盗事件から始まる。
壮絶な家庭環境に育った梅川を演じるのは宇崎⻯童さん。
今から約30年前でまだ30代半ばなんだけど、
ピタリと梅川役にハマっている。
梅川は母親を異常なほど大切にする。
幼い頃から大切な人、信じていた人が自分のもとを去って行った。
だから、裏切る人間を許さないし、
その異常な寂しさが暴力や凶暴な言動に走らせるんだね。
信じたいんだ。
認められたいんだ。
強盗用の車を手配した元同級生のワルも、
梅川の本気の意気込みに途中でついていけなくなる。
梅川をそこまで⾛らせてしまうのは、
人に認められたい、
人を信じたい、
という強烈なコンプレックスであり常軌を逸する欲望なんだ。
最後に交際していた女性は、
あの高橋恵⼦さんが演じていて、それがまたとんでもなく美人。
男なら誰もがイチコロだ。
でも、
映画の中ではこの美人が曲者で、 次々に男を不幸にしていくんだね。
女性の本能に従順でいい女なんだけど、
「とにかく凄いことをやる人が好き!善悪は関係ない」
っていうところが・・・ね。
そんな美女と暴力が原因で別れてしまうんだけど、
実在した伝説のヒットマンとその美女はもう付き合っている。
筋⾦入りのヤクザだね。
梅川はとても太刀打ちできない。
そのヒットマンが明日やくざの親分を撃つとか言ってるんだ。
翌日本当に撃って伝説になるんだけど、
六甲山中に生爪をはがされた死体が発見されるんだね。
もちろん新聞沙汰になる。
そんな男に惚れた高橋恵⼦さん演じる美女を見返すためにも、
梅川はもっとドデカイことをしなければならない。
母親にも30歳でデカイことをすると約束している。
で、銀行強盗を思いつくわけ。
ラストシーンは銀行に飛び込むシーンで、
スタートは梅川の死体が映るというあべこべの設定なんだけど、
改めて⼈間臭さを教わった気がする。
ノンフィクションというのはやっぱり迫力があっていい。
追伸.
やっぱり、愛が宇宙を創っているんだね。
愛のバランスが狂うと、すべてのバランスが狂い始める。
追伸の追伸.
梅川っていう男は、何だかんだ言って結構幸せな人生だったんじゃないか、映画を観終わった後そう感じた。
...千田琢哉(2011年9月1日発行の次代創造館ブログより)
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