【気づき】Vol.1091(2011年6月28日発行のブログより)
侏儒の言葉。
言わずと知れた芥川龍之介のアフォリズム(箴言・しんげん集)。
簡単に言っちゃえば、芥川・格言集だね。
冒頭にはこうある。
は必ずしも私の思想を伝えるものではない。
唯わたしの思想の変化を時々窺わせるのに過ぎぬものである。
侏儒ってのは、
チビとか無教養で取るに足らない人間という蔑称だから、
彼自身が自らを韜晦して本書を綴ったんだね。
つまらない人間の戯言だと思って読んでくださいって。
ちょうど体調不良が悪化し始めた頃に仕上げたものらしいから、
非現実的な超越したものになっているね。
この作品が完成して2年後には薬物自殺をしている。
そういえば芸術家や作家といったクリエイティブな職業の人って、
クスリで捕まっちゃう人が多いよね。
ミュージシャンもかな。
どうやらクスリでハイになっている状態で創作活動すると、
いい作品ができちゃうらしいんだ。
でも言っちゃ悪いけど、それは天才じゃない。
天才は自分の脳内で自家製のクスリをドクドク流していかなきゃ。
「うっ、これは基準値明らかに超えて出し過ぎです」
って言われても自分の脳内で分泌する分には法に触れないし、
医学的にも問題ない。
才能に限界を感じると、スポーツと⼀緒でドーピングに⾛っちゃう。
この作品も30歳そこそこで仕上げていることを考えると、
知識はとてつもなくて脅威に値する。
当時はgoogleもないからみんな⼿作業で集めたんだもの。
1ページ1ページ書物を読み漁ったんだよ。
あり得ないほど勉強家だったんだよ。
でも作品には魂が入っていない。
人間嫌いで厭世主義者の匂いがプンプンする。
迷いがある。
そこが人間臭くて味なんだけどね。
本⽂中、
「桃李」
という項目がある。
わずか2行の解説⽂にはこう記されている。
「桃李言わざれども、下自ずから蹊を成す」とは確かに知者の言である。
尤も「桃李言わざれども」ではない。
実は「桃李言わざれば」である。
参りました。
追伸.
本⽂の中に無数に出てくる
「クリスト」
それにいちいち反応してしまうのは僕だけだろうか。
...千田琢哉(2011年6月28日発行の次代創造館ブログより)
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