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さか、坂、さか

 休日、都内の適当な駅で降りて住宅街を散策する

空は雲が比較的少ないけど、視界のあちこちには漂っている感じ

確か「晴れ」って雲が2割~8割くらいのことを指すんだっけな

中学時代の理科の教科書にあった内容をぼんやりと思い返していた

僕は区画を通り過ぎるごとに左右の景色を確認している

こっちは真っ直ぐ向こうまで見通せる

あっちは、坂だ

うん、良い坂だなあ。

 僕は散歩中に坂を見つけると、いちいち気に留める

そして、余裕があれば坂のある道を選択して歩く

坂の景色も、坂を歩いてみるのも好きだからだ

始端から終端まで淀みない、定規で引いたような傾斜の坂

弧を描くような膨らみのある坂、凹みのある坂

螺旋状に伸びる坂

その周りに軒を連ねる風景、坂に合わせた作りだったり、そうでなかったり。

 坂に立つとき、僕はいつも傾く感覚を意識している

物理学的な話をしたいんじゃない、心情的なエネルギーもどこかしら偏りがあるはずだ

そんな受容体である僕自身がその坂に立って周りを観察することは

どの坂もユニークなんだということ。

 それでも僕は、経験から感じ取る「惹かれる坂」と「そうでない坂」の取捨は続けるようにしている

なぜなら僕は坂の「はかせ」になりたいからではなくて

僕を教えてくれる坂を選んでいきたいから

だから絶対的な評価なんてない、作りたくもない

上らずに見送った坂だからという理由は、次回に上らない理由にはならない

……かといって知識を嫌っているわけではない。

 ネットで趣味事を発信しようとすると、「はかせ」にならないといけないんじゃないかって、気になって色々調べてから発信することが多い僕。

もちろん「はかせ」になれないことが多くて、だからそのことをしっかりと前後のどこかで記しておかないとなって、それをマナーの一環として言い聞かせて自分を律してきたつもりだった。

ただ、自分が怖がっているだけなこと、分かってた。

僕は周りの人が「はかせ」じゃなくても「はかせ」じゃない理由を求めた事なんてなかったから。

 そんな僕の情けないところと、受け入れがたい「今」という状況

その両方を少しでも受け入れたいと思えてきた

まだまだ受け入れたくない気持ちのほうが沢山ある

けど何か変えないとベクトルは変わらないってこと

悲しいけど、虚しい僕を認めて、進まないと言葉を紡げないと思えたから芽生えた「受け入れたい」という気持ち

大切にしていきたい。

 ここまで絞り出して画面に落された言葉

 絞り出すために思考回路を駆け巡った言葉

 僕を現す言葉、僕に理解を促す言葉

 僕がここに書くきっかけをくれた大切な人たちの言葉


全てに、ありがとう、なんです


この文章の展開は……急坂だな。

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