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アンドロイド転生1041

2120年8月8日 
イギリス某所 結婚式場控え室にて

結婚式当日。気温は22℃で過ごしやすい陽気だ。天気は快晴で2人の門出に相応しい。花婿と花嫁は其々の個室で支度をしていた。リョウと共に親戚のルイ、カナタ、シオンがいた。

学生の彼らは夏休みで、遥々日本からやって来たのだ。リョウと2年振りに会ったカナタとシオンは彼のタキシード姿に深々と溜息をついた。
「兄ちゃん…マジで変わったわ!」

ルイが勢い付く。
「だろ?言っただろ?」
ルイは昨年の修学旅行でイギリスにやって来てリョウと会っていた。

カナタはリョウの周りを歩く。
「背筋が伸びて…そんなカッコが似合ってるぞ」
シオンはリョウの顔を繁々と見つめた。
「自信に溢れてる…あの兄ちゃんが…」

カナタは頭を振った。
「信じらんねぇ!だってよぉ…頭はボサボサ。髭はボーボー。服はヨレヨレ。目はどんより。腹が出てたし。それになんかいつも臭かったぞ!」

リョウは目を丸くする。
「え!臭い⁈マジか!」
3人の少年達は腹を抱えて笑い出した。そうだ!オヤジ臭だ!と言って手を叩く。

「い…今は臭くないよな…?」
「ないない。大丈夫だ!」
「人間は変わるもんだなぁ」
「ミアさんのお陰だな」

プランナーアンドロイドがリョウを呼びに来た。4人は笑顔で教会に向かった。多くの参列者がリョウの登場に拍手した。立体画像が浮かび上がり、ホームの親戚全員も集まっていた。

参列者の多くの白人はルイ達と同じようにカラフルな髪色と目の色をしており、彼らを特別視する者はいなかった。3人はそれが気楽だった。日本ではいつも注目されるのだ。

リョウが所定の位置に着くとウェディングメロディが何処からともなく流れた。扉が開きミアと父親のアキオが立っていた。緊張の表情のアキオとは違い自信に溢れた美しい花嫁のミア。

無垢の象徴の白いドレス姿はまるで天使のようだ。参列者が溜息をついた。2人は一歩一歩進んでくる。待ち受けるリョウの胸が早鐘のように鳴った。俺はなんて幸せ者なのだろう…。

アキオからリョウに花嫁が移されて、全員で讃美歌を合唱する。2人は牧師の前に立った。祝いの言葉と約束が囁かれる。全てに誓約すると、互いに指輪を贈り合い最後にキスをした。

牧師が夫婦になった事を宣言した。結婚証明書のホログラムが立ち上がり2人と証人者がサインをすると拍手喝采となった。リョウは感動していた。全員が自分達のスタートを祝っているのだ。

ミアの母親と画像のリョウの母親が泣いている。女親とはそんなものなのかとリョウは思う。プランナーが人々を外に誘導し、2人が最後に教会を出ると沢山の花が撒かれた。

その後は披露宴会場のレストランに移動する。人々は大いに食べて飲んで笑い合った。ハオユー達がダンスで場を盛り上げた。リョウとミアも誘われると手を繋いでグルグルと回った。

ルイ達も多くの女性からダンスに誘われた。英語はマスターした3人だからコミュケーションは問題ない。だが着飾った女性達は美しいし、積極的で少年達は照れてしまう。

いつまでも終わらないパーティ。だがリョウとミアは切り上げてホテルに行った。明日から新婚旅行だ。行き先はフランスである。リョウはまた世界を知る。人は動けば風が吹くと言う事だ。


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