アンドロイド転生1107
2126年4月3日
東京大学
ヤマトは無事に入学式を終えた。ピカピカの頬が並んだ。同級生が5歳も歳下かと思う。でもタカオ伯父さんは直ぐに友達が出来ると言ってくれたんだと期待に胸を膨らませる。
その後はサークルの勧誘だ。まるでお祭りのように賑やかで驚いた。すると離れた所にいる少女と目が合った。ほっそりとしており儚げだ。すると彼女はこちらに向かって歩き出す。
ヤマトをジッと見つめたまま確固たる足取りでやって来るのだ。えっ?俺?なんで?俺…?胸が高鳴った。少女はヤマトの前で立ち止まると背の高い彼を見上げた。
ヤマトの緊張が益々高まる。
「あ…あの…?」
「平家の子孫ね」
「えっ!」
ヤマトの驚いた顔を見て少女は微笑んだ。
「やっぱり。だって片目の色が違うんだもん。色も白いし、髪の色も薄いし。ね?今ヒマ?私はヒマなの。お茶しない?」
ヤマトは少女の積極性に驚いた。何と応えれば良いのだろう。人慣れしていない彼は戸惑う。
「え…あの…その」
「ホラ!ハッキリする!」
「う…うん。分かった…行く…」
「よし。あ。私はタナカマリコ」
「俺は…ドウガミヤマト」
「ドウガミルイの親戚ね?」
・・・
大学付近のカフェにて
2人はカフェラテを飲んでいた。
「何でドウガミルイの事を知ってるんだ?」
「うちがホストファミリーなの。ルイは義理の兄ってこと」
ヤマトは目を丸くした。そんな偶然なんてあるのか。義理の妹とバッタリと出会うなんて。
「私は1年生になったの。ヤマトは?」
いきなり名前呼びか?とまた驚く。
「俺も1年生。23だけど…。やっと国民になれて先週タウンに来たんだ」
「うん。私は17なの。飛び級して入学したの」
「へぇ…優秀なんだな」
一昨年までは日本において小学校〜高校までは飛び級制度はなかった。年齢に応じた学年で学ぶ事が定められていたからだ。だが憲法が改定されると直ぐにマリコはその制度を利用した。
「兄に勉強を見てもらったし」
兄か…ルイが。そっか。妹なのか。こんな可愛いんだからさぞかし嬉しいだろうな。マリコは…ほっそりとして儚げだ。
実は彼女はかなり肉付きが良かった。しかも太い事など全く気にしてなかった。だがそんなマリコも韓流スターに恋をした。一念発起してダイエットに励み2年を掛けて達成したのだ。
ルイからは“丸々のマルコ“と揶揄われていた。痩せたにも関わらず今もマルコが愛称で、しかもおっさん呼ばわりだ。しかし彼女の心は折れたりしない。心が図太いのは変わらなかった。
マリコはニッコリとする。
「あのね?実はヤマトの事は知ってたの。ルイがよく話してたから。で…東大に入学するのも知ってた。今日、会えないかなと思ってた」
俺と会いたい?益々ヤマトは緊張する。
「そ、そうなんだ…」
「ね!友達になろうよ!」
「え…?」
タカオが直ぐに友達が出来ると言ったがまだ入学してから2時間も経ってない。こんなに早く出来るものなのかと驚いた。でも嬉しかった。
「う…うん。ヨロシクな」
「うん。ヨロシクね。ね?ヤマトは何のサークルに入る?ルイはね?地味な山岳部。私はそんなの嫌だな〜。ダイビングなんてどう?」
ダイビング?早速webで調べようと彼は思った。
※マリコがヤマトを知った(画像で)シーンです