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アンドロイド転生1201
2127年5月1日 午後
ルイのホストファミリー宅 リビングにて
リビングに入ると義妹のマリコの向かいに同年代の少女がいた。ルイは笑顔を作る。
「いらっしゃい」
「アニキ。友達だ。キサラギホナミだ」
※キサラギホナミについて読者に紹介しよう。彼女の母親はキサラギトモエ。TEラボの職員でアオイがアンドロイドに転生した時の担当者だ。やはりここでも人は誰かと繋がるようだ。
ルイは邪魔をしては悪いと思って急いでキッチンに向かった。
「お茶を取りに来ただけだから。すぐに行くよ」
「いや。アニキもここにいろ」
ルイは立ち止まって眉根を寄せた。
「ん?なんで?」
「ホナミがアニキを好きらしい」
「え?」
ホナミがソファから立ち上がった。
「今年東大に入学しました。マリちゃんとはサークルで一緒です。お兄さんに一目惚れしました。付き合って下さい」
マリコがニヤリとする。
「アニキ。振るなよ。オタクのアニキを好きになるヤツなんて金輪際、現れないぞ」
「金輪際…」
時代劇かよ?と内心ツッコミを入れた瞬間、少女の言葉を思い出す。ん?今なんて言った…?え?一目惚れ?俺に?この子が?マジで?ルイは少女を凝視した。
ホナミは自分の頬に手を当ててウキウキとする。
「お兄さん…そんなに見つめられたらドキドキします。え?好きになってくれました?」
「あ…いや…」
マリコは長い脚を組んで腕も組む。痩せたらそんな仕草もサマになった。
「いいか?アニキ。ホナミの事はよく知らない。だから付き合えません?それはナイ」
マリコは真剣な表情になった。
「相手を知るためにまず付き合うんだ。そして好きになるか嫌いになるかそこで判断しろ。いい子なのかどうかは私の主観は言わないから」
ホナミは感心したように大きく頷く。
「マリコ。頭イイ。そう。いい子なのかどうかはルイさんが判断して下さい。ね?」
「はぁ…」
マリコはニヤリとした。
「忙しいと言うのもナシだぞ。総理大臣を見ろ。忙しくても妻子がいるんだ。時間は自分で作るものだ。まぁ…概ねアニキは暇だ」
ルイはムッとした。
「暇じゃない。研究が忙しい」
「ワザと忙しくしてるんだ」
「はぁ?」
マリコはルイを見つめてニンマリとする。
「いいか?研究は逃げないが女は逃げるぞ。ジジイになった時にボッチになって気付くのは遅い。忙しいフリをしてるからいけない」
ホナミはルイに向かってニッコリとする。
「研究が楽しいのは分かります。でも私と一緒もきっと楽しいですよ!飽きさせませんから」
「いや…そう言う問題じゃなく…」
ルイは漸く驚きから立ち直ってきた。いつも物事を論理的に解釈する性格なのだ。
「君は…そもそも…俺のどこが好きなの?知りもしないのに何で…好きになったの?」
「ルイさんを見た瞬間に私の大脳辺縁系がこの人が遺伝的に合う!と電気信号を心臓と子宮に送ったんだと思います。それで…胸と下腹部がときめいて…あらゆる事をしたいと思ったのでしょう」
※アオイとキサラギが出会ったシーンです
※ホナミの初登場シーンです