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恋愛してない自分なんて嫌いだ


彼とは、大学の頃から
付き合ったり別れたりしていたけれども
合わせて3年半付き合っていた。

ほとんど毎日の生活を共にしていた。

私は実家暮らしだったが、
彼は大学の近くに住んでいたので
バイト終わりに
なんとなく家に帰りたくなく
急に遊びの誘いをして
そのまま泊まる日も少なくなかった。


バイト帰りの私は
街中の電車の改札口で、
立ち止まる。
路線図を眺める。
1番乗り場に行けば、実家に向かう。
2番乗り場から電車に乗れば、
彼の家にたどり着く。

いつも立ち止まる私は、そこで彼に電話をする。

今何してるの?今から遊ぼう

彼はほとんどの確率でイエスと言ってくれた。


その頃の私は空っぽで、
自分に自信がなかった。
彼に完全に依存していた。

自分で答えが出ているはずなのに、
決定権を彼に渡す。
それが当たり前の日常だった。


社会人になり、私は強くなった。
一人暮らしを始め、
生活の質を上げることを楽しみ、
毎日が幸せで満ちている。

恋愛依存体質も脱退した。

彼とさよならした後に付き合った
遠距離彼氏が原因で、
私は1人でいることの楽しさを知った。

会えないことが普通の恋愛を経験し
そのおかげで免疫がついた。

遠距離彼氏と別れた後の私は
いきいきとしていた。

自己投資にお金を使い、
自らを成長させることが楽しくて仕方がない毎日だった。


けれども、ある日ふと
空虚感を感じた。

相変わらず毎日が幸せなんだけれども
何かが足りない。
頑張ろうと思ったことも
断念したくなる。

すぐに実家に帰りたくなるし、
家族に会いたくなる。
週末に実家に帰ったら帰ったで
今度は一人の家に帰るのが寂しくなる。
家族と離れるのが名残惜しい。
帰ってしまえば1人の時間を満喫するから、
この物足りなさは
今だけの感情、、、

何なんだろう
この1ヶ月ほどで急に芽生えてきた
この感情は。
このままじゃダメと
自分にムチを打ちたくなるような
どこか胸がキュッと苦しくなるような感情は。
何なんだろう、この感情は。
この空虚感は。


1人で本を読みに行ったカフェを出て
帰路についた。

地下鉄の改札口を通過し、
路線図を眺めているときに気付いた。

そうだ、恋愛をしていないからだ。



無理しているとかではない。
単純に、「今はいいかな」
と思うから
1人の時間が楽しいから
恋愛を遠ざけていた。

でも、気づいた。

恋愛していない自分なんか嫌いだ。

恋愛はいいや、と
知らぬ間に自分に言い聞かせて
無理をしていたんだ。

今日やっと、
人を好きになることが
自分にとってどれほどの幸福度だったかを
知った。

ある程度キャパシティに余裕がないと
幸福度は高まらないからと思い
脳みその中では恋愛を放置していた。

だけど、逆効果だった。

脳みそが隙間なく埋まっていないと
私の思考は停止するようだ。

恋愛をするために、
脳みその中で放置されていた
隙間を埋めるために、
動かなきゃ。

昔と比べて
恋愛の意味合いだけは変わったようだ。

自分に自信をつけるための恋愛から
脳みその隙間を埋めるための恋愛へ
シフトチェンジ。

新しい意味での"恋愛"始めます

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