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桜色の虹(会いたい人に会える橋)

夢を見た

誰もいない夢

僕はただ一人で歩いていて

何もない真っ白な空間

霧が晴れていくように、かすれて見えていく青

ここは空?

雲の上?

晴れていく青を目指して歩いていくと

現れたのは桜色の橋

虹のようなアーチを描いて

青の先に続いてるーー。


ふと、先の方から影が見えた

なにかがこちらに向かってくる

ゆっくり、ゆっくり。


僕もその橋の麓を目指す。


お互いに、確かめ合うように

ゆっくり。ゆっくり。


麓に着くと、半透明な桜色の虹がしっかりと現れて続いているのがわかった。

そして

近づいてくる影ーー。

ゆっくり。ゆっくり。

そろそろ、それが何なのかわかりそうな…。

影、人のようだ。

歩いてくる、人影ーー。

僕はその場で、じっとその姿を確認する。


はっとした。

よく知っている顔ーー。

桜色の虹を渡ってきたのは、

2年前にいなくなってしまった彼女ーー。

「アリシア!!」

夢だと思った。

彼女は病気でこの世を去ったーー。

愛していた。
ずっとずっと、一緒にいたかった。

それなのに……。


「カイル!!」

満面の笑顔で桜色の虹を渡ってくる彼女は、
僕の名を呼んで、飛び込んでくるーー。

僕がよく知っている彼女そのもの。

僕が愛した、永遠の恋人。

もう2度と会えず、2度と抱きしめないと思っていた、愛しくてたまらないアリシアーー。

「アリシア…ああ。夢みたいだ…いや、夢だって良い。
また君を抱きしめることができるなんて……」

「カイル…愛しのカイル。私も会いたかったわ。カイルのいない世界なんて、いても退屈だもの」

「どうして、ここにいるんだい?」

「この橋が、私を導いてくれたのよ」


2人で一緒に桜色の虹を眺める。

「この橋って…一体?」

「カイル、虹の橋って知ってる?」

「虹の橋? 息絶えてしまった動物たちが渡っていく?」

「そう。でもこの橋は、桜色の虹。」

「虹の橋と、桜色の橋……」

「桜色の橋は、会いたい人に会える橋」

会いたい人に会える橋ーー。
お互いが会いたいと願えば、帰ってきてくれる橋。

もう2度と会えないはずだった2人。

どうしても会いたいと願った2人。

どうやったら、この橋がかかるかはわからない。

いつ消えてしまうかもわからない。

それでも、この瞬間ーー。

愛しくて、愛しくて。

会いたくて、会いたくて仕方がなかった。

そんな君に、また出会えるなんて。

「この橋は、きっと偶然なんかじゃないね」

「カイルに会いたかった…もっと、ずっと」

「ずるいじゃないか。僕も会いに行きたかった」

「大丈夫、また、こうして会えたから」

行こう、この橋を渡って。

今度は2人で……


永遠に

一緒にーー。

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