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形のない

だんだん心の中が、内側から腐って黒ずんでいくような気がする。
一つ一つ積み重ねるごとに、そうさせているのは自分だと痛感する。
やりたくないことを惰性で続けて、私欲のために続けて、それは自分のために他ならないのに、なぜか黒く黒くなっていく。
自分のためだと分かっているからこそ、これは仕方ないことで自業自得だと思うのに馬鹿みたいに苦しい。


付き合っているていの人に会ったあと、私は一体何をしていたんだろうかと必ず我に返る。
半ば騙すように、都合の良いように解釈してこの関係を続けていて、でもこんなのは間違っているんだろうと思うから沈みたくなる。
線路に踏み出しそうになる。
苦痛なものから完全に逃げ出せるような気がして。
もう全て忘れられるような気がして。
そうしたくて。



彼を好きになれないと決まったわけじゃない。
でも好きになれると思ったこともない。
じゃあ別れればいいのだけれど、それは私にとって都合が悪いのだ。
相手にとってもそうだから、「恋愛感情はないよ」と言ったのにも関わらずそれでいいと彼は了承したのだ。
歪な関係だ。
いつか愛情がなくても馴染む日が来るのかもしれない。
そんなことは望んではいないけれども。


人間関係に「あるべき姿」も何もないんだろうが、少なくとも私たちは「あるべき」じゃないとそう思う。
少しくらいなら窮屈でいいから型に嵌まるようなものでありたかった。
ドロドロで形もないからどこまでも流れ落ちていけてしまう。
相手にとっては確立したも同然の関係。
だから、なんとなく当たり前の人間らしく繕っただけの、本当は形のない私だけが流れ出して、線路でも排水溝でも下水道へだって落ちていく。




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