ごめんなさい
実家に1日だけ帰った。
事前に言うでもなく帰省したから、家族はみんな驚いていた。
仕事で遅くなる母親にメールで実家にいることを伝えると、帰ってくるなら連絡しろと怒られた。
けれどまあ帰宅したら当然怒ってなんかいないわけで、むしろいつもよりテンションが高かったくらいだ。
昨日は母親の誕生日で、父親がケーキを買ってきてくれたのだが、私が帰ってくることを知っていたわけでもないのに家族4人分あったケーキに驚いたのは私だった。
偶然だろうけれどなんとなく嬉しかった。
私はまだこの家族の一員でいられているんだな、と思うと。
今日の昼に最寄り駅まで送ってもらったとき、母親は当然院試の話を振ってきた。
どこを受けるの?もう決まってるの?まだ?
と、心配気に。
息苦しさと罪悪感が襲って堪らなかった。
私は予備校に通っているていで、バイトもしているていで、院試も受けるていで、けれど本当は予備校にも通っていないしバイトもしていないし院試の勉強もしていない。
両親を騙して、無意味に息をして、日々を消化している。
努力するのが面倒なんだろう。
そういうゴミ屑なのだ、私は。
「お母さんもお父さんも心配だけど、あんまり言うと悪いから言わないんさ」
と母は言った。
実際そうなんだろうとは思っていた。
何も言わないで、私を信じて東京に残した。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
クズだから、で開き直りたくはないけれど、努力するにはどうしたらいいのか分からない。
どうにもならなくなったら死ねばいい、とそんな考えばかりが頭を占拠していて、努力から逃げている。
整形がしたい。
なんだかそれだけが生きる理由になっている。
ごめんなさい、生きていて。生まれてきて。