hiroさん(@hirofilms)のアメブロ『大怪獣のあとしまつ』を読んで思ったこと。
https://ameblo.jp/hiropilsner/entry-12847864831.html
ラストを「解決」と思ってしまうと「金返せ!」になる。
山田涼介が「ヒーロー」であることは、観客には最初から明らかなはずなのに、ラストで唖然とする観客が多かったのは何故だろう?
思い出してほしい。政府は一貫して「保存」を目指した。
山田涼介もそれを目指していた。
だが、濱田岳には別の思惑があった。
そして「希望」は保存も解体もされることなく、山田涼介に奪われた!
ヒーローが正体を知られたら、地球にいられなくなる。
シン・ウルトラマンには、政府から守ってくれる仲間がいたが、本作の山田涼介は孤独だ。
この3人にとって、本作で最優先で解決すべき問題は、三角関係の解消。
土屋太鳳は濱田岳と結婚しているが、死んだと思っていた元婚約者の山田涼介が現れ、気持ちが揺れている。
それを察知した濱田岳は、山田涼介を配下に置いて監視し、仕事の邪魔をし、殺害を試みて、その正体を暴くことに成功する。
山田涼介の正体を知った土屋太鳳は、彼がもう手の届かない存在になってしまったことを悟り、「ご武運を!」で見送る。
あらためて観なおしてみると、シン・ゴジラの政府の初期対応は酷すぎる。
それに比べれば、大怪獣のあとしまつの政府は、緊張感に欠けるように見えるが、実は理路整然と、現場や国民の意見も考慮したうえで迅速に決断し、速実行できる優秀な政府だと思う。
1.人類が持て余す大問題を、颯爽と現れたヒーローが解決!
→ 最初からそうしろよ!人類の叡智と努力を無にする最低の映画!
2.大災害に右往左往する無能な政府のドタバタコメディ。
→ 基本構造はドリフのコント。「希望」のポーズは「ちょっとだけョ!」、泥水被るのは「お約束」、ラストは「だめだこりゃ」で舞台が回り、主人公が大道具抱えて舞台袖に去る。
3.巨大な怪獣の死体を人類の手で無害化して保存するリアルなシミュレーション。
→ 荒唐無稽に見えるが、実現可能な方法を試みていく。
失敗の連続だが、一定の成果は上がる。
ラストでついに成功させたのも束の間、濱田岳の放ったミサイルによって台無しに。
4.ヒーローのふりをして地球侵略を狙う外星人と戦い、正体を暴いて追放する映画。
→ 山田涼介は地球人に化けた外星人。怪獣を自作自演で倒して特務隊に潜り込み、土屋太鳳を誘惑するが、夫の濱田岳に察知され、正体を暴かれ追放された。
5.見た目や先入観に囚われると本質を見失ってしまうことを示唆する教訓映画。
→ ギャグ連発の岩松了は裏で特務隊から指揮権を奪う実力の持ち主。
おどけた雰囲気の西田敏行は一喝して即断し行動も迅速。
美形のヒーロー山田涼介は濱田岳の謀略に敗れて逃亡するチキン。
怪しい風貌の松重豊の提案が唯一成功する作戦。
コメディに見せかけているがヒーローに見捨てられて「あと死待つ」人類の悲劇。
6.怪獣の造形やバイク等のメカを楽しむ特撮映画。
→ ストーリーに対する酷評は多いが、特撮シーンに対する評価は高い。
「希望」は全長6mの模型が制作され、キノコも1本1本手作りだ。
7.山田涼介と土屋太鳳の恋の行く末を見届ける恋愛映画。
→ 運命のいたずらで引き裂かれた2人。再会を果たした時には、土屋太鳳には夫濱田岳がいた。
理性と感情のはざまで揺れ動く2人。
濱田岳はどう動く?
映画の楽しみ方は人それぞれ。見方や考え方を変えるだけで、どんな映画でも楽しめるはずなのに、「クソ映画」と決めつけて裏の部分を見ようとしないのはもったいない。
この映画、そんな単純なものじゃないと思いますよ。何といっても松竹と東映初の合作映画!
気合とお金は大量投入されてるはずなので。。