IT技術でマニュアル作成は進歩するのか？
デジタルカメラの普及と写真の活用
今までのマニュアル作成を振り返ると、デジタルカメラの普及により、以前よりも簡単に写真をマニュアルに貼り付けられるようになりました。これは大きな進歩です。しかし、写真を活用しても、「どこに注目すべきか」がうまく伝わらないことがあります。このように、注目点を示さない写真では、情報の伝達が不十分になる場合があります。そのため、写真だけでなく、文字情報も同時に付け加えることが不可欠です。
文字の役割
デジタルカメラの普及が進んでも、マニュアル作成の基本は「文字での記述」です。もし文字で説明できない場合、それは自分自身が内容を理解できていないことを意味します。そのため、他人にうまく伝えることもできません。一方で、文字で記録しておけば、時間が経って忘れてしまったことも思い出せます。文字の最大の役割は、「時間を超えて情報を他人に伝えること」にあります。
動画を使ったマニュアル作成
次に、ビデオ撮影が簡単にできるようになりました。現在では、ほとんどの人がスマートフォンを持ち、誰でも手軽に動画を撮影できるようになっています。そのため、動画を使ったマニュアル作成も一般的になっています。動画は写真よりも動作を記録するのに優れていますが、カメラの写真と同じように、「どこに注目すべきか」が分かりにくいという欠点があります。この問題はまだ解決されていません。
拡張現実の可能性
この問題を解決できる可能があるのが、IT技術で注目される「拡張現実（AR）」です。すでに、画像にマーキングを加える技術は実現されています。例えば、専用眼鏡を通して見ることで、注目すべきポイントをマークで強調表示する仕組みがあります。また、カメラでベテランと初心者の動きを記録し、両者の違いを自動で指摘することも技術的に可能です。このように、拡張現実の技術を活用すれば、マニュアル作成が画期的に進化する可能性があります。
拡張現実（かくちょうげんじつ、英: Augmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ、AR）とは、現実世界に仮想世界を重ね合わせて表示する技術を指す言葉。エクステンデッド・リアリティ（XR）と呼ばれる先端技術の一つである。現実の風景の中にCGでつくられた3D映像やキャラクターなどのデジタルコンテンツやデータを重ねて表示することで現実世界を"拡張"する。専用のヘッドマウントディスプレイ（以下、HMD）を用いる方法、あるいはスマートフォンのカメラとディスプレイを使って重ね合わせる方法などがある。