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無造作な日々の2「脇」

ミシェル:
「ねぇねぇ、ゆずこ先輩。あの人、今日病院行くって」
ゆずこ:
「へぇ。そうなんだ」
多分私より年下と思われるミシェルはいつからか、ゆずこ先輩と呼ぶようになった。だけど敬語は使わない。ハーフタレントを見習っているのだろう。そして、私たちはいつしか社長じゃないあの人のことを、あの人と呼ぶようになっていた。
ミシェル:
「なんか脇の下にデキモノができたみたいで。普通脇の下にデキモノできますぅ?」
ゆずこ:
「脇の下にデキモノは聞いたことないね。痛そ」
ミシェル:
「だよね〜。ってか、わざわざ連絡してこなくてもいいのに。対応するのが面倒だわ」
ゆずこ:
「まぁね。私たち社員でもなんでもないしね」

あの人:
「いや〜、まいったまいった。なんか、3日前から急に脇の下にデキモノできて、それがめちゃ痛くてさぁ。脇の下だから擦れるでしょ。もうね、ずっと痛いのよ…」

ゆずこ:
(ん?普通に受け入れてたけど、脇の下ってどこ?脇じゃないの?脇からさらに下の場所のこと?それってどこよ。けど、あの人がデキモノできた場所って絶対脇だよね。下ではないわ)

あの人:
「でさ、朝イチで皮膚科に行ったわけ。そしたらなんか毛穴からばい菌が入って膿んでるから、穴開けて出そうってことになったの。そしたら膿がドバドバでてきて、看護師が出た膿を見せてくるわけ。で見たら、もうバケモノみたいでさぁ。デキモノからバケモノが出てきましたー!!ってかー!ガハハー!」

ミシェル:
「へぇ、デキモノからバケモノみたいな膿が出たんだね!」
ゆずこ:
(あ〜ぁ、なんだかなぁ)

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