見出し画像

「エリートの理想と苦悩」なりたい自分とありたい自分

――いつもの居酒屋。テーブルには焼き鳥や揚げ物が並び、二人ともビールを片手にリラックスしている。最近、「なりたい自分」について頭を悩ませている成田(ESTJ)に、有田(ENFP)がある質問を投げかける。

有田:「なあ、成田。前から思ってたんだけど、お前って昔から“こうなりたい”ってビジョンがめちゃくちゃハッキリしてるよな。いつも目標を立てて、それに向かってガンガン進んでいくイメージ。あれって、どっから来てんの?」

成田:「そう見えるか? まあ、昔から“将来はこうなるんだ”みたいな理想図はあったかもしれないな。」

有田:「そうそう。小学生んときから『クラス委員長になりたい』とか『テストで一番取りたい』とか、やたら“上に行きたい”感じあったじゃん? その根っこってなんなんだろって思ってさ。」

成田:「振り返ると…たぶん親の影響が大きいかも。うちの親父がさ、そこそこ厳しかったんだよ。『どうせやるなら一番目指せ』とか『中途半端はダメだ』とか言われてさ。子どもの頃はそれが当たり前だと思ってたんだ。で、褒めてもらえるのは“結果を出したとき”だけだったから、自然と“なりたい自分”っていう理想を追いかけるクセがついたんだと思う。」

有田:「なるほど、親父さんの教育か。じゃあ、いわゆる“理想をつかみに行く”姿勢ってのは、子どもの頃からずっと身についたもんなんだな。」

成田:「ああ。でも、自分自身もそれを嫌いじゃなかったんだ。たとえばテストで一位になったときの達成感とか、運動会でリレーのアンカー任されたときの誇らしさとか、そういうのが快感になっていったんだよ。今でも仕事で成果を出したら“やっぱり頑張ってよかった”って思うし、周りから“すごいね”って評価されるのも嫌じゃない。」

有田:「へえ、そりゃわかるな。俺もさ、YouTubeで『面白い!』とか言われるとテンション上がるし、誰だって認められると嬉しいもんだ。でも成田の場合は“認められたい”って気持ちより、“一番になりたい”ってプライドのほうが強い印象があるわ。」

成田:「そうかもしれない。負けず嫌いだし、あと“自分はこう在るべきだ”って思い込みも強いのかもな。そもそもESTJって、計画立てて目標に突き進むタイプらしいし。でも、それが全部悪いわけじゃないと思うんだ。自分を鼓舞する力にもなるからさ。」

有田:「だな。実際、今の会社じゃその性格めっちゃ活きてるし、昇進だって早いし。だけど、この前言ってた“空っぽ感”はそこから来てるの?」

成田:「たぶん、理想(なりたい自分)にばかり意識が行きすぎて、現実の“今の自分”を見てなかったのかもな。結果を追うのが習慣化しすぎて、自分が本当に何を感じたいのかを置き去りにしてきたっていうか。そこがモヤモヤの原因だと思う。」

有田:「なるほどね。親父さんの教育と、自分の負けず嫌いな性分が合わさって、今の成田の“なりたい自分志向”ができたってことか。でもそれが成功の原動力になってるのも事実だし、全部否定する必要はないんじゃね?」

成田:「ああ、俺もそう思う。理想を持って走るのは悪くない。ただ、どこかで立ち止まって“本当の自分が求めてるもの”とも向き合わないと、いつか心が折れちゃう気がするんだよ。」

有田:「ま、その辺のバランスは今後の課題ってことでしょ。お前が『こうなりたい』って努力するのも大事だけど、『こうありたい』って気持ちとどう繋ぎ合わせるか、ってやつだな。さーて、次は何頼む? 俺はもう一本焼き鳥いけるよ。」

成田:「(笑)お前、どこまで食うんだよ。でも…そうだな、もうちょい飲みながら話すか。俺もいろいろ吐き出したいことがあるし。」

――こうして二人の会話は、成田の過去に根ざした“なりたい自分”志向のルーツを振り返りながら、今後どう自分と向き合っていくかという話題へと続いていく。理想を持つ強さと、その裏側にあるリスクをどう扱うか。成田にとって、それはこれからの人生を左右する大きなテーマになりそうだ。

いいなと思ったら応援しよう!