「今を犠牲にして将来楽するは間違っている」なりたい自分とありたい自分
――雑居ビルの居酒屋。少し酔いが回ってきたのか、成田(ESTJ)と有田(ENFP)の会話もより踏み込んだ内容になっていく。焼き鳥をつまみながら、いつのまにか「なりたい自分」と「ありたい自分」の話題へと移っていた。
有田:「さっきの話だけどさ、“こうなりたい自分”と“こうありたい自分”って、一見似てるようで結構違うよね。成田はどう思う?」
成田:「うーん、そうだな…。俺のイメージだと、『なりたい自分』っていうのは“未来の目標”って感じが強いかな。社内で出世するとか、大きなプロジェクトに成功するとか、何年後にこうなっていたい…みたいな。いわば“理想の姿”だよな。」
有田:「なるほどね。俺的には、『ありたい自分』は“今”どう感じていたいか、とか“本音”の部分じゃないかと思ってる。たとえば、今日はちょっと疲れたからリラックスしたいなーとか、動画作りしてるときってワクワクするなーとか。そういう、内側の欲求って感じ?」
成田:「確かに。俺も今までは“理想の姿”とか“目標”ばっか追いかけてきたから、正直“今の自分がどうありたいか”なんてあんまり考えたことがなかった。やるべきことをガンガンやるのが俺の性分だし。」
有田:「そうそう、ESTJっぽいよね。お前は計画立てたり、スケジュール管理したり得意だから。俺はどっちかっつーと、その時のノリや気分で動いちゃうこと多いからさ。“こうありたい”っていう欲求は強いんだけど、未来のビジョンは割とボンヤリしてるタイプ。」
成田:「つまり『なりたい自分』は、目に見える成果や未来の目標に向けて走ること。『ありたい自分』は、今の自分がどんな状態でいたいか、どんな気持ちを大切にしたいかってこと…だな。」
有田:「そうそう。お金や地位とかの“外側”を求めるのが『なりたい自分』、心の安定とかワクワク感とか“内側”を大事にするのが『ありたい自分』って言ってもいいかも。」
成田:「外側と内側、なるほど。でもまあ、どっちかだけに偏ってもやっぱり不安定になるんだろうな。」
有田:「たださ、この二つって実は敵対してるわけじゃないと思うんだよね。俺も、ぶっちゃけ“こうなりたい自分”ってのはあるよ。いつか自分のチャンネルをもっと有名にしてさ、好きな音楽で盛り上がるイベントとか開いてみたいし。」
成田:「お前、やりたいことはしっかりあるんだな(笑)。でもそれって、『ありたい自分』ともつながってるんじゃないの?楽しそうなイベント開きたいっていうワクワク感が、自分の本音でしょ?」
有田:「おお、そう言われるとそうかも。つまり、自分が本当にやりたいことやワクワクすることを掘り下げていくと、その先に“こうなったら楽しそう”っていう未来が見えてくるわけだ。逆に“こうなりたい”から入っても、そこに本音が伴うとモチベーションが続くって感じ?」
成田:「うん、だから全然別物ってわけじゃなくて、実はどっちもお互いをサポートする要素があるんだよな。『なりたい自分』があるからこそ頑張れるし、『ありたい自分』があるからこそブレずにいられるっていうか。」
有田:「そうそう。さっきみたいに“理想ばっか追いかけてると心が空っぽになる”ってのは、理想と本音の接点を見失っちゃってる状態なんだろうね。そこがちゃんと合致すれば、めちゃくちゃパワー出そうじゃない?」
成田:「俺は今まで、“こうなりたい”っていう未来志向が強すぎた分、『今はどう感じたい?』っていう問いをすっかり忘れてたんだな。そこが俺の中で空っぽ感を生んでたのかもしれない。」
有田:「逆に俺は『今どうしたい?』っていう気持ちを重視するあまり、先のことあんまり考えてなかったりする。だから、たまに“こんな将来もいいな”って思うとモチベーション上がるし、計画立てなきゃって思ったりする瞬間もあるんだよな。」
成田:「なるほど。お互い真逆だけど、いい感じに補完できる関係かもな。幼馴染ってのもあるし、これからはちょくちょく意見交換してみるか。」
有田:「お、いいね。俺のほうも成田を見習って、もう少し先を見据えて行動するのもいいかも。ま、まずはこの焼き鳥に集中して、“今を味わう”のも大事だけどね!」
こうして二人は、なりたい自分(未来志向)とありたい自分(現在志向)の違いと共通点を改めて認識し合った。
• 違うのは、“なりたい”が理想の未来に向かう指標であること、一方の“ありたい”が今の本音を大切にする姿勢であること。
• 共通しているのは、どちらも自分が満たされるための道標であり、“本音と理想が合致したとき”に大きな力を生む、という点。
昭和レトロなBGMが流れる居酒屋での会話は、まだまだ続いていく。
生ビールを傾けながら、未来と今を行き来する二人の視線は、次にどんな答えを見つけるのだろうか。
有田:「よし、じゃあそろそろ締めのラーメン行く? 俺は腹が減ってしょうがない!」
成田:「お前、まだ焼き鳥食ったばっかだろ…でも、まぁ行ってみるか(笑)。」
そんな他愛ないやりとりの中にも、“なりたい自分”と“ありたい自分”を意識するヒントが隠れているのかもしれない。