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理想のレーザーポインターブラケットを作る

こんにちは、せんしちです。

今日は最近3Dプリンタで作ったレーザーポインターブラケットについて、自己満のために紹介します。3Dモデルは無料公開しています。


ファインダーとしてのレーザーポインター

望遠鏡のファインダーとしては、低倍率の単眼鏡を用いるものがイメージしやすいですが、その他にハーフミラーを通してLEDの照準を表示するものや、単にのぞき穴を設けるものなどがあります。あるいは、レーザーを鏡筒と並行に設置し、その光路を見る方法もあります。

賛否両論あるのですが、私はレーザーを用いた方法が好きです。天球上の位置関係がつかみやすく、実際に光路をアイピースから確認することもできますので、別の恒星を取り違えてしまう心配がありません。のぞき込むために不自然な姿勢をとらなくて良いので首が痛くなりませんし、双眼鏡等で同じ天体を見比べることも容易です。

英語圏のオンラインフォーラムでは5mW程度の緑色レーザーがちょうど良いとされており、私は515nmのレーザーを使っています。これは、赤外線レーザーの非線形変換を利用した532nmのレーザーと比べ効率が高く、エネループやリチウム乾電池と組み合わせると低温でも安定に動作します。

なお、飛行機への照射等は法律で罰せられます。また、周囲の観測者にも配慮が必要でしょう。

既存の製品

さて、レーザーポインターを望遠鏡に固定するために、例えばAliExpressで「laser bracket for telescope」と検索するとこんな商品がいくつも出てきます。

同様の商品を実際に使っていたのですが、不満が主に2点ありました。

まず、太めのレーザーポインタに対応するためか、結構かさばります。アイピースと一緒に収納しているのですが、ネジが何本も飛び出ているので良く引っかかって邪魔でした。

そして何より調整ネジの数が多くて面倒です。レーザーを適切な向きに向けるためには、3本1組のネジを適切なテンションを保ちながら調整しないといけません。1本のネジを回しただけでは必ずしも思った方向に移動してくれないし、時折緩めすぎてレーザーポインタがすっぽ抜けたり、後述のように調整範囲を超えてしまい脱落したりするのも不満でした。

作ったもの

ネジでレーザーの方向を微調整でき、ファインダー台座に取り付けられるものとして、自分に必要な機能を厳選していくと写真のような形になりました。

上にレーザーポインターを乗せ、輪ゴムでテンションを掛けて保持することで、調整のために必要な自由度と同じ2本までネジを減らしました。それぞれのネジを締めると天球上のレーザーの位置は下図の対応する矢印の方向に移動します。

はじめは、調整ネジを2本ともレーザーポインターの後端に配置することを考えました(下図上)。しかし、この構造では各ネジを1mm程度縮めるとレーザーポインターが脱落してしまいます。

そこで本作では調整ネジと固定の支持棒を一組にして、2本の調整ネジは対角線上(先端左と後端右)に配置することにしました。この構造なら調整幅を好きなだけ確保できますので、±3mm程度の調整幅を取るように他の部分を設計しました。

3Dデータの作成はAutodesk Fusionの個人用無料アカウントを使ってやってみました。CADを使うのは初めてだったので試行錯誤しつつ、随分な時間を費やして形にしました。特に、左右非対称の機能を醜くないデザインに落とし込むのはなかなか難しいですね。

出来たデータはSTL形式でエクスポートし、DMM.makeにアップロードして3Dプリントしてもらいます。送料込1900円程度のエコノミープロレジンを選び、2週間程度で手元に届きました。

ネジ穴には、上図のように六角ナットを埋め込む穴を開けてありますが、届いた実物に六角ナットとボルトがきれいに収まった時はほっとしました。

3Dデータ

一切の責任を負えませんが、もし需要があれば自由にダウンロードしてお使いください(CC0)。

組み立てに必要なもの

  • M3のナット×2個

  • M3でネジ部の長さが12mm程度のボルト×2本

  • 輪ゴム

  • 適当な接着剤

レーザーポインタは13mm径を想定して作りましたが、10〜16mm径なら使えると思います。ベース部分は32mm幅で、ビクセン規格のファインダー台座に適合します。

ネジの頭が3mm程度出た状態がニュートラルです。

まとめ

3Dプリントは、自分の発想を手に取れる形にできて楽しいです。安くはないのであれもこれもとはいきませんが、また機会があれば必要なもの、欲しいものを作ってみようと思いました。

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