カッシーニ(土星に輪がある理由) 作詞作曲・上田現
明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい
がん哲学外来の提唱者樋野興夫先生の本のタイトルです。読んでないけど。ヘヘ。いや、記事とかは結構読みましたよ。死を強く意識せざるを得ない時にどう生きるのか。なぜ死ぬのに生きなきゃいけないのか。
上田現ちゃんについて
上田現(以下現ちゃん)はレピッシュ(LÄ-PPISCH)というバンドのキーボードと作詞作曲(サックスも)を担当していたアーティストでレピッシュを脱退後は歌手の元ちとせのプロデュースやソロ活動をしていました。2008年にガンで亡くなるのですが、タイトルの「カッシーニ(土星に輪がある理由)」は元ちとせに作った最後の歌です。
現ちゃんが書く詩はちょっと独特で、物語的で屁理屈的で優しくロマンチック。直接的な言葉ってあまり使っていないんじゃないかな。私なんかは割と難解に感じて、よく「ワダツミの木」がヒットしたなぁって思います。でも私は現ちゃんの詩が大好きで大好きで今でも現ちゃんが大好きです。
カッシーニという歌
そんな現ちゃんが珍しく「大好き大好き」と連呼する歌が「カッシーニ」。最初聞いたときストレートな言葉に「珍しい」と驚きました。でも、「好き」使わずに好きを書くのも難しいですが「好き」の連呼で壮大な宇宙を感じさせる詩を書くのもなかなか難しい。これはもう、ラブソングとかじゃなく宇宙と、そして生きるとはを感じさせられちゃう歌です。
カッシーニは土星探査機の名前に使われていますが、フランスの天文学者の名前でもあるのでそちらに意味じゃないかなって気もします。土星を見上げながら考える歌なので。
"好きで 大好きで もうどうしようもなくて 気がついたら あなたの 周りをぐるぐ回ってる"
というのを土星の輪っかがある理由に謎らえて展開される歌詞なのですが「好きで周りをぐるぐる回る」って、かわいいですよね。現ちゃんらしい歌詞だなって思います。抱きつくとかじゃなく、ぐるぐる回っちゃう。
”はっきり目に写るほど こんなに近くにいる ただそれだけのことが 本当に不思議でうれしい”
今はもうしないですが、子供が小さいとき公園でケラケラ笑いながら走って私の周りをぐるぐる回っていたことを思い出します。私の事を好きなんだなあ、ってうれしくなった記憶があります。
歌詞の背景
元ちとせのインタビュー記事によると、こちらの歌は現ちゃんが元ちとせが妊娠中の時にあったときに元ちとせがとても嬉しそうで生まれた歌とのことです。私はてっきり現ちゃんの残されるであろう家族に向けての歌なのかと思っていました。
すごいよ、現ちゃん。
”カンパネルラが聞こえた どこかで誰かが産まれた そして誰かが消えてく 私はあなたの手を握ってる”
今日の花に水をあげる
実際に死を意識しなければいけないときに、それでも今日の花に水をやれるのか。この歌を聞く度に私は考えます。