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乳がん小葉癌の10年後②~どこまで誰に言う?言わない?子供ママ友他~

上の子小学校高学年

真っ先に考えたのが当時小学校5年生の子供への対応。
私は病気がみつかる1年前にも手術をしており、術後寝ている私の姿に怖がって泣いていたのを知っているので「ああ、また泣かせてしまうな」と。
子供への告知が一番辛かったかも。

でも、やはり話して正解でした。
手術前に子供から手紙をもらったのですが、その中で
「本当は、お父さんとお母さんの話がきこえてて『お母さんは癌なのかもしれない』と思っていた。」という一文があり、あぶねーー!これ内緒にしてたら一生不信感もたれたわ!!と思ったのでした。
いやあ、子供って思った以上に親を気にかけていますよね。

何かが起きている、その何かがわからないから恐怖が大きくなるのだ。人格形成においても、発達段階で親が何も話してくれなければ親に対する信頼を失い、ひいては人間に対する信頼を失いかねないという。

子供に親のがんをどう伝え、どう支えるか 子供のいるがん患者支援と米国で開発された「チャイルド・ライフ・プログラム」の中身 | がんサポート 株式会社QLife (gansupport.jp)

率直に親ががんであると伝えることで、子どもは親に質問しやすくなり、不要な憶測や不安感を減らすことにも役立つ。そして、たとえ死が避けられない病状に陥ったとしても、「前もってそのことを知らされていた子どもは、そうでない子どもに比べて不安度が低い」とアッシェンブレナー氏は解説する

親ががんになったとき、子どもに何をどう伝えるか(2ページ目):がんナビ (nikkeibp.co.jp)

参考にしたのはこのあたりの記事。
とにかく私も告知のショックで頭が回らないので、セオリーに沿って伝えるしかない。

・お母さんはがんで治療します。
・治療で見た目が変わります。
・これは誰が悪いわけでもない。
・お母さんががんだからと言って他の家族もがんになるわけではない。
・学校の担任の先生と保健室の先生に相談するから辛かったら先生に相談していいし、保健室に行ってもいい。
・お友達に相談してもいいけど、お母さんの体のことなのでお母さんはあまり周りに言われたくない。大勢にしゃべらないで何人かに留めてほしい。
・病気の何が一番いやかというと、いつもの日常が変わることが嫌だ。お母さんはみんながいつも通りに暮らしてくれることを望んでる。楽しいことは楽しんでほしいし、怒りたいことはことは怒ってもいい。

伝える前に箇条書にして練習した

という事を伝えました。

もちろんやっぱり子供は泣いて、泣きながら「お母さんは治るの?」と尋ね「それはわからないけど、お母さんは死ぬつもりはないよ」と答えたのですが、当時「これは末期でしょ」なムードあふれる診察ばかりだったので「これが嘘になったらますます子供を傷つけてしまうな」という事が気がかりでした。
いや、まあ、生きてるんですけどね。よかったー。セーフセーフ。

その時にアメリカの、親ががんになったこども向けの冊子を印刷して渡してあげたのですが、多分、こちらの記事の最後のリンク先かな。

割とドライに
・悲しい気持ちになったら→バスケのシュート練習をしよう
とか子供向けに書いてあってとても良かったんですね。今は日本のリーフレットも充実していますが、当時あまり子供向けでドライなハウツーもの風なリーフレットがなかったので助かりました。
同じ冊子を学校の担任にも渡して、「これに沿って子供に話すので、授業中
涙ぐんだりするようでしたらそっとしてあげて下さい。本人には『担任の先生にも話してあるので相談していいんだよ』と伝えてあるので、本人から相談があったらよろしくお願いします。」と伝えました。

あと、子供が当時習い事の先生を大変慕っていたのでその先生にも伝えました。そしたら、偶然にも先生も違う部位ではありますがサバイバー(癌治療経験者)で、なんか色々話が早くてよかったし、身近にサバイバーがいることは私もだいぶ気が楽になりました。

数年後、中学生になった子供に当時の話を聞いたら
「うーん、最初辛かったけど、なんか慣れた。病気だって忘れちゃった。」
と言っていたので、やはり早めに話しておいてよかったなと。
そんなこんなで上の子は現在大学生。私の稼ぎで学費(の一部)払えるのうれしいな。

下の子2歳

2歳なので、話しても伝わるわけがなく下の子への告知はしませんでした。
当時通っていた幼保園にも特に病名は伝えず「ちょっと入院します」位は言ったかな。
子供が小学校に上がってしばらくたったある日ふと
「お母さんの体はどうしてそうなの?(手術痕があるの)」と聞いてきたので「病気で悪いところがあって、手術したんだよ」と答えると
「がん?」と聞かれたので
「そうだよ。がんだよ。」
と答えました。

やっぱり「3つのC」のうちの一つ「子供にがん(cancer)であることを告げる」のは大事なんですね。

そのあと、「でもこれはもう悪いところは取ったので大丈夫だし、お母さんの体のことだから、お友達には話さないでほしいな。聞いてくれてありがとう。お母さんも話せてよかった。」と伝えたら納得したようでした。

下の子は現在中学生で私より背が大きくなりました。
あの時以来傷跡について話題にすることはなかったです。あのやり取りを子供は覚えているのかな。どうなんだろう。

友達

これは失敗した話なんですが、中学の同級生に久々に再会してついポロっと話してしまいました。
偶然にもその時大規模な同窓会を企画していたらしく、その流れで言っちゃったのかな。私も里心がついちゃって。
あっという間に話が広がったようです。
なぜわかったかというと、その後別の同級生からきいたので。「生きてるの?」みたいな反応をされました。

それ以来中学の同級生とは一切関わらなくて良いように繋がりをカットしました。
多分死んでいると思われていると思いますし、それでいいです。

高校以降の同級生でずっと交流を続けていた友人数名には結構早い段階で打ち明けてました。
治療が落ち着くまでそっとしておいてくれて、元気になって遊びに行ったときに「元気そうね。よかった。」と言ってくれました。
その対応がありがたかったです。

ずっと交流を持っているだけの理由があるというか、長年の友人は長年の友人だし交流が途切れた友人は交流が途切れた友人なんだなと。

ママ友

病気について話すと、思いがけず必要以上に動揺させてしまったり悲しい記憶を思い出させてしまったり、そういう姿を見ることでさらに私が動揺したり傷ついたりすることが多いという事を乳がん以前の病気で経験していたので、
具体的にお願いしたいことがある人にだけ伝える
という方針でいくことに。
家が近所で子供同士は性別が違い親しくないけれども、何かあったら頼めそうなママ友一人と、子供同士が親しくスポ少の絡みで送迎しあったりしていたママ友の二人。
まあ、周りは気づいていたと思うのですが、言わずに通しました。
私の周りが通常通り回っているというのは私の大きな支えになりましたし、そっとしておいてくれた皆さんありがとう。

親戚

具体的にお願いしたいことがある人にだけ伝える
というのは親戚に対しても同じで、これもやはり別の病気の手術でうるさかった私の実親には伏せ、姉と弟に伝え義実家には夫から話しただろうけれどもとにかく誰にも会いたくないと伝えました。
てかもう、自分と子供のケアで手いっぱいで、術後枕元で親にめそめそ泣かれたりしたら本当にうんざりというかげんなりというか、無理だなと思ったのでシャットダウンして大正解でした。

で、結局実親にはいまだに話していません。
別に話さなくても既往歴に書くわけでもないしなんの弊害もないものですね。
入院の保証人を親族から二人立てなければならないのですが、それは私の姉と舅にお願いしました。この保証人制度いい加減どうにかならないのかな。

告知のコツ

というわけで、これらの告知の経験からなんですが、コツは
告知したあとすかさず自分の要求を伝える。

話された方もパニックになるので、すかさず具体的指示というかお願いをして「共にがんばろう」という方向持っていくと余計なあれこれがないんじゃないかなって思いました。



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クジラ
来年またなにかやれたらいいな