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「第三の時効」と「熱烈」が面白かった

横山秀夫「第三の時効」と中国映画「熱烈」が、とても面白かった。ジャンルも作品の内容も全然違うけれど、面白いものは面白い。ので、短い感想。
ねたばれしてるので、未読・未見の方はお気をつけ下さいね。

「第三の時効」
F県警強行犯を舞台とした短編集。出てくる主だった刑事が、皆さん30年物のワインのように深みがあっていいですねえ(私、お酒一切飲めないけれど)。髙村薫の合田さんに通じる怨念的な暗さが良い。特に、「ペルソナの微笑」はめちゃくちゃ秀逸だと思った。本物の刑事さんに出会った事がないので、実際に刑事として働いている方々がどのような気持ちで日々悪と向き合っているか分からないけれど、こういう職人的刑事さんが小説で読む時はとても好みだ。人間は環境、常日頃よく接する人の影響を受ける。だから、正義感溢れる刑事さんだとて、「実行しないけれど日々接している悪」の微細なかけらは影響すると思っていて、そういうところを絶妙に描いてくれるのが、私の中では横山秀夫や髙村薫なのだ。このF県警シリーズ、もっと読みたいなあ。あと、合田さんシリーズももっと読みたいなあ。

「熱烈」
ブレイキンを主軸にした青春映画。泣いて笑って、めっちゃ面白かった。私、ダンスのレッスン後に見に行ったのですが、見てる間中踊りたくなって仕方なかったですもん(ブレイキンは踊れませんが)。王一博演じる主役の好青年のお母さまが、「(私の息子は)あそこにいる一番のイケメン」と説明していた台詞の説得力が、半端なかったです。確かに、あなたのご子息は1,000人いれば999人が「いけめん」判定するいけめんです。
シリアスなシーンの中に、スパイス的に笑いを入れたり、ストーリーのテンポがめちゃくちゃ良くて、見てる間に映画に引き込まれていました。気づけば、一緒に全国大会の決勝の舞台の観客の一人になっている気分。ダンスの迫力も熱量も物凄くて、何回も見返したい気持ちになりました。ライバルチームも、ライバルなんだけれど、「ダンスを好きな仲間」という在り方に、ああ、素敵だなあと思いました。私も、腹部のインナーマッスルもっと鍛えます。背中も、もっと柔らかくします。と、決意を新たに映画館を出ました。前向きな気持ちを引き出してくれる、熱く素敵な映画でした。見られて良かった。

あと映画といえば、「海が走るエンドロール」6巻まで読みました。うみ子さん、素敵です。多分、うみ子さんと同じ条件(金銭的に大学進学可能、家族が応援してくれる、健康面)を持っている人でも、実際に行動に移す人は多くはないと思う。「私だって〇〇があればやる」と思っている人でも、実際にできる状況になっても、今までと全く違う海へ踏み出すのって、めちゃくちゃ勇気がいると思う。うみ子さんの背景なら、「60代の私が、20歳の若者の中に入ってやっていけるだろうか」「入学して卒業して、結局何が残るのだろうか」「〇〇さんたちに、今さら何やってるのかしらと笑われないかしら」とか。やらない理由なんて、いくらでも出てくるんですよね。その中で、航海を始めたうみ子さん、本気で凄いと思います。最近私も考えるのですが、恥なんて一銭にもならないんですよね。そして、他人は自分の人生の責任なんて、当たり前ですけどとってくれないんですよね。だからもう、自分を肯定し、楽しくやりたいことをやるのが一番なのかなあと。
ちなみに私は、soraくんも好きです。3巻soraくん、めっちゃ好きです。
さて、今日から筋トレの種類追加やな。筋肉は、裏切らない。

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