10000字を超える誹謗中傷を行ったライターを刑事告訴しました
隼瀬茅渟(https://twitter.com/tinu_hayase)氏を、刑事告訴しました。
noteに10000字を超える誹謗中傷記事をアップした侮辱罪です。
警察の取り調べによると、隼瀬氏も容疑を認めているとの事です。
noteに開示請求を行った3年前の民事裁判で既に勝訴しており、そこで得られた情報を基に個人を特定し警察に被害届を提出、受理された後に書類送検となりました。
告訴を行った過程で、隼瀬氏には私が何者であるかが伝わった事かと思いますので、それを前提にお話ししていきますが、この記事を作成するに至ったのは、note裁判でその代理人である服部啓一郎弁護士より、
というご意見を賜ったからです。
隼瀬氏も、弁護士先生も、まさか私があのツッコミ所満載の誹謗中傷記事に対する反論を用意していないとでも思ったのでしょうか。
そんな訳で今回は、弁護士先生のリクエストにお応えする形で、隼瀬氏への反論を行っていきたいと思います。
記号論に必要なのは「数学的発想」
まず、私が井上郁のアカウント名に入れている「記号論」の定義について、一から説明する事から始めましょう。
記号論とは、代数計算のスペシャリストであるチャールズ・サンダース・パースが体系化した、「X」に別の何かを当てはめる要領で文意を読み取り、分析を加える手法の事です。
厳密に言えば数理論理学の仲間であり、私が扱っているのもコンピュータ技術の祖として知られるクロード・シャノンのモデルですので、プログラミングのように記述されたコードを読み取る発想に近いと言えます。
エンコーディング、デコーディングなんて用語があるくらいですしね。
従って記号論を扱うのに必要なのは「数学的発想」であり、センスの無い人は全く理解できない分野の学問であります(ここ重要)。
さて、発端となった『鬼滅の刃』ですが、この作品は第1話の掲載時から、物語構造に関わる代数「X」の描写がてんこ盛りで、一部の人達をざわつかせました。
東京藝術大学美術研究科に籍を置かれていた南島興氏も後追いで指摘されている、「炭焼男」の設定がそれです。
炭焼男の部分に当てはまるのは、柳田国男の論旨に当てはめれば「鬼」という文脈になります。
ネット上ではこの構造を読み取った勘の良い人達の間で、当初から炭治郎の鬼化が予測されていました。
さらに話が進むごとに次々と見つかる「逆さま」の描写に本来の意味を代入すると、人が鬼になる意味合いはますます強調されていきます。
中でも核心を突いていたのが、鋼鐵塚の台詞「赤は縁起がいい」です。
六曜の一つ「赤口」は、火仕事をする家が縁起が悪いとして忌避する鬼の日であり、刀鍛冶の言う「赤」は赤口の意(刀傷・火事)を表します。
要するにこの時代の刀鍛冶が赤が縁起が良いなんて言うはずがない。
ひょっとこ(漢字で火男)のお面を被った刀鍛冶、という設定は、本来の意味を当てはめれば忌避すべき大凶の存在であり、そんな縁起の悪い人物が実際とは真逆の、鬼の日を肯定する台詞を口にしているのです。
ここには当然、
本来の意味とは逆さまにコードを記述した目的がある、
と考えられる訳ですね。
鬼の心を支えた「柱」
『鬼滅の刃』ではこの他にも、神殺しの悪神である「火の神」を、日本神話の最高神である「日の神」と混ぜこぜにして「ヒノカミ」と表記するなど、人と鬼の境界を曖昧にする「逆さま」の描写が多く見られます。
ゼノブレイド2でも採用された神話ネタを、作者のワニ先生が周到に調べ尽くし、作中に意図的に仕込んでいるのが見て取れます。
では、その意図とは何か?
人と鬼の境界が曖昧である、という描写には元ネタが存在します。
新井白石の『鬼神論』及び、平田篤胤の『鬼神新論』で議論になった、人の中に存在する良い神様と悪い鬼の両面性です。
鬼が人に害をなす一面的な存在として説いたのが新井白石で、神様が鬼になりうる善悪の二面性を説いたのが平田篤胤。
平田の論考は『霊の真柱』に引き継がれ、古神道として成立します。
『霊の真柱』は、人間の霊魂に宿る神様は人間が死んだ後も「柱」となって支え続けている、という論考をまとめたもの。
新井が説く霊魂が離れた人、つまり死んだ人が「鬼」になるのでなく、霊魂である「柱」の作用によって良い神様になったり悪い鬼になったりする、というのが平田の考え方です。
「柱」に関する論考は、煉獄さんと炭治郎の関係に表されています。
炭治郎は鬼との過酷な戦闘で心が折れそうになる度に、「心を燃やせ」と念じて自らを奮い立たせます。
この台詞は、煉獄さんがよく口にしていた後進への励ましの言葉。
煉獄さんは死んだ後も、炭治郎の「柱」となりその魂の中に生き続けているという意味に連なります。
ワニ先生が「逆さま」の描写を丹念に仕込んでいたのは、全ては物語の核心部分となる、人間の心の作用によって良い神様にも悪い鬼にもなる事を、読者に一番伝えたかったからでしょう。
炭治郎は鬼としての才能を持って生まれた忌み子であり、それが「炭焼男」であったり、カグツチのタイトル案に反映されていると考えられます。
最終話近くまで炭治郎が鬼にならなかったのは、「柱」である鬼と決別した煉獄さんの心の支えがあってこそ、煉獄さんが居なければ炭治郎は妹同様、とっくに鬼化していてもおかしくなかった訳です。
私が書いた記事は、炭治郎の鬼化というネタバレを絶対に伏せなければならない制約があったので、この核心部分をぼかしてあります。
ネット上で具体的に「逆さま」の描写に対する考察も複数出ており、無限列車編まで観た人達の中には、「炭焼男」の引用先と「古神道」の記述だけでそれが伝わった人が実際に居ます。
論理式の中から逆さまに記述されたコードを見つけ、それをデコーディングして正しい答えを出力する、要するに高校生でも解けそうな易しい問題なのですが、大学を出た大の大人が、しかも評論を生業とする専門家までもが、ことごとくコードを見落としているとは、よもやよもやです。
記号論は一般教養の科目ですよ。
論理学を本格的に学ぶ前に行う頭の訓練みたいなものです。
準備体操の段階で躓いてもらっては困ります。
「権威」が正しいとは限らない
刑事告訴の件に話を戻しましょう。
note側の弁護士・服部啓一郎先生は開示請求裁判の中で、著名な方が発信していた鬼滅記事に全く関係の無い私への直接的な悪口を引用し、「論評」とされていらっしゃいました。
敗因はもちろん、ただの悪口を「論評」に含めた事で、隼瀬氏の誹謗中傷も論評のうちであるとする答弁に大いに説得力を欠いたせいですが、
それ以前に、この悪口を発信していた著名な方が過去20年間、一冊の著書も書いていなければ、論文すらも殆ど書いていないのを、ろくに調べもせず、ただ著名人だからとして発言を引用したのがまずいですね。
公開の場で議論するなら、まずこの人物の発言を引用するなどしません。
引用した自己の答弁への信憑性を疑われるからです。
つまり弁護士先生は、この人物の肩書きの部分しか見ていなかったと考えられます。
ネット上で昔からよく言われるのは、著名人だからといって必ずしも事実を言っているとは限らないし、その反対に匿名だからといって必ずしも誤りを言っているとは限らない、という事です。
弁護士だからといって答弁が必ずしも正しいとは限らない。
著名人だからといって見識が必ずしも正しいとは限らない。
「権威」ある人から名前を取り外し、匿名で自分の考えを発言して、返ってきた反応がその発言に対する本当の値打ちである、なんてのが匿名掲示板の人達の言い分だそうですが、実際に「権威」ある人よりネットの見識の方が正しいなんて事はざらにあります。
こちらの鼎談記事が分かりやすいんじゃないですかね。
著名な先生方が口を揃えて「大正要素」が見受けられないとされていらっしゃいますが、実はそんな事なく、偉業を成した人達が神様として神社に祀られ始めた大正時代の「柱」の考え方が、煉獄さんと炭治郎の関係にごりごりに当てはめられているのは既に述べた通りです。
匿名掲示板で最初に炭治郎の鬼化を予測し、その後は物語構造を丁寧に読み取りながら「逆さま」の描写を次々と見つけていった人達こそが、ネット上では誰よりも偉い。
「権威」なんてそんなものです。
自分の専門分野以外はネットの見識にすら劣るのが現実です。
刑事告訴に至ったポイント
今回の刑事告訴に至ったポイントをご紹介しておきましょう。
一番の理由は、note開示請求裁判で隼瀬氏に開示する旨の通知が行った直後に、鍵掛け逃亡したからです。
リアルでも逃亡の恐れがあると判断されました。
隼瀬氏のこの行為を客観的に見た場合、
10000字超、27回もの誹謗中傷に自ら及んだにも関わらず、
訴えられると自己の法的責任から目を背ける
と、裁判での心証は最悪です。
喧嘩を売った相手が本気で反撃に出たと分かった途端にこれですよ。
私は隼瀬氏がnoteに誹謗中傷記事をアップした時から、刑事裁判を見据えた証拠ツイートを押さえておりましたので、ちょっと遅かったですけどね。
証拠ツイートはURL付きで画像化し、警察に提出済です。
このnote記事に関しても、私が削除希望しているならnoteへの開示請求裁判の時に弁護士を通じて削除依頼をかけていますが、それをそのままにしているのは、刑事告訴を見据えての証拠保全の為です。
削除するかどうかは、noteの規約違反に該当する行為に及んだ時点で、利用者である隼瀬氏ではなく、運営であるnote株式会社に委ねられます。
そして現在はその運営会社に対して、被害者である私が待ったを掛けている状況です。
有罪が確定次第、削除依頼をかけます。
もう1つの理由は、隼瀬氏の知人にリアルで迷惑を掛けられた事です。
刑事裁判に持ち込むには「人の名誉を毀損」が構成要件に含まれます。
つまり、どこの誰かも分からないTwitterアカウントに対しては「中の人」に迷惑が掛かったかどうかが重要になってきます。
ただの悪口で済ませていたら刑事罰まで適用されなかったのですが、今回は「中の人」まで被害が及んだと判断された為、告訴が受理されました。
なお、この知人の方によれば、Twitterアカウントに鍵を掛けるのは「卑劣」「臆病」と言われるのだそうですが、この発言の直後に子飼いのライターが鍵掛け逃亡した事は一般社会では何と言われるのかご教授願えませんかね。
ブロックの理由は、自己の行いが既に刑法に触れている事を、客観的・論理的に見つめる思考に著しく欠けているからです。
ネットで報復された腹いせにリアルで迷惑をかけてやろう、なんて一般常識を備えた人なら普通は思いませんよ。
この方はご自身のフォロワーからも、私に対して働きかけた一連の迷惑行為について強めにたしなめられています。
にも関わらず行動をエスカレートさせ、ついには一線を越えてしまいましたので、「そろそろやばいな」という判断すらご自身で付ける事が出来ない、他人から注意されても改める事も出来ない印象しか持ちえません。
私がお二方に述べる事は皮肉以外には1つだけ、ご自身の発言に対する法的責任だけは取っていって下さいねとだけ、きっぱりお伝えしておきます。
まとめ
今回の記事をまとめておきます。
記号論に必要なのは「数学的発想」であり、匿名掲示板に『鬼滅』の予測をした人達の中には、自力で物語構造を読み解き、論理的に考える力を持っている人がちらほら見られた。
私は物語構造を読み取った人達に向けて情報を発信し、期待した通りの反応を確かに頂いたが、誹謗中傷に与した人達の多くはこういった視点に欠け、意図して記述されたと考えられる「逆さま」のコードを見落とした。
記述されたコードが何であるかも気付かなかったので、煉獄さんと「柱」の描写にどんな意味があるのかも深く考えなかった。
何も気付かない、深く考えもしないのに、誹謗中傷だけは10000字超、27回も行った人物が、きっちり反論された後に刑事告訴された。
以上になります。
私は見ず知らずの人から誹謗中傷された事より、学識を持った人達が「大正要素」が見受けられない等、堂々と論じていたのがショックでした。
「柱」のキーワードが具体的に出ている作品で記号化された記述を見落とすのは、単純に過去問に触れた数が足りないんじゃないですかね。
庵野秀明監督が仕掛けて大成功したエンコーディングの手法が、サブカルチャーを通じて一般化してから既に30年近くが経過しようとしており、その間にたくさんの記号化された作品が世に出ている訳です。
それらを過去問として解き続けていれば、『鬼滅の刃』の逆さまのコードは難なく見つけきれていたかと思いますし、コードを見落としたのであれば、デコーディングの訓練が浅いとしか言えません。
私は学生の頃から庵野秀明監督を追い続けています。
記号論を学んだのも、大阪芸術大学の故・田畑榮一教授こそが、庵野監督に強い影響を与えたからだと睨んだのがきっかけです。
つまり何十年もずっと数理論理学に携わり、論理的思考を培う訓練を積んでいますので、ゆえに私は初歩的なコードであれば、過去問を参照にして容易に解ける訳です。
自力で解けなかった人達は、参照にするライブラリが構築されていない(解き方を説明されればちゃんと分かる)、ただそれだけです。
記号論は誰が解いても必ず同じ答えに導かれます。
だって代数計算の要領ですから。
X=○○ですって解答するだけですから。
平易な表現に落とし込まれているほど、受け手は理解した「つもり」になりがちですが、客観的・論理的に分析を加えると、実は平易ではなかったなんて事はよくあります。
隼瀬氏の界隈を見る限り、客観的・論理的な思考に欠けた人ほど、他者への批判を積極的に行っている印象です。
どこからが犯罪かの線引きも出来ていないので、訴えられて当然です。
ネット上でうかつに他人を批判をすれば、恥をかくのは自分の方だと強く認識すべきです。
私も、他人を告発する記事を書くのはこれっきりにしたいです。