RPG MAKER WITH『日はまた昇る』(2)シナリオ制作に取り掛かる
ロープレすぎる3社協業のお話
ソニーの「S」、東芝の「T」、IBMの「I」。
RPG MAKER WITHで制作中の『日はまた昇る』は、世界王者の任天堂を倒すべく、STIの3社が協業した24年前のお話です。
私はこのお話が大好きでして、当時は日本中のプレステファンがCELLコンピューティングの熱に浮かされていたのを覚えています。
何せCELL開発の過程がロープレすぎる。
業界の覇権を担うソニーが、最初にIBMを仲間にし、次に東芝を仲間にした後、3社がアメリカ・テキサス州に集結してSTIデザインセンターを設立し、世界王者の任天堂を倒すための武器を作る。
こんなの、ゲーム化決定でしょ。
プレステ3が成功していたら今頃、新プロジェクトXの題材に取り上げられていたであろう一大事業は、ご存知の通り失敗に終わり、SCEは債務超過に陥り生産拠点を売却、敵はインテルと豪語した社長はクビにされる末路を辿ります。
だからゲームタイトルが『日はまた昇る』です。
日の丸半導体は2008年のリーマンショックの追い打ちも受け、ごくごく最近まで斜陽産業とまで言われていました。
2024年現在のTSMC熊本進出は、ソニー長崎でのCELL生産以来の日の丸半導体復活を予感させますし、円安がそれを後押しするようにも思えます。
そんな今だからこそ、先達の技術者の苦闘を伝えるお話が必要なのです。
ラーイジーングサーン 日はまーた昇ーってゆーくー。
主人公は任天堂のスパイ
いきなり穏やかではありませんが、このお話の主人公は任天堂のスパイで、ソニーの中途採用試験を受けて内部に潜入する所から始まります。
CELL開発は、ライバル企業に機密情報が筒抜けでした。
原因はスパイ、ではなく、
3社の一角であるIBMや、グラフィックチップを提供したNVIDIAが、XBOXのマイクロソフト陣営に情報を横流ししていたり、社長自らプレステ3の仕様をお漏らししたり、機密情報の管理がボロボロだったからです。
任天堂もソニーの動向をうっすら知っていたようで、2005年にプレステ3が初公開された翌日に、任天堂もWiiの試作機を公開し、ソニーの新型機を迎え撃つ準備が完了していました。
スパイの主人公は、この実際の情報漏洩具合を俗人化し、キャラクターにしたものです。
スパイが居たから情報漏洩した、という方がお話として面白そうだったのでそういう設定にしましたが、現実にはスパイなんて居ませんし、スパイが居なくても技術力の高さを吹聴したい関係者が居たみたいです。
現実は小説より奇なり。
ソニー、東芝、IBMも、各企業のイメージから俗人化してあります。
ソニーはリーダータイプのおっさんを、東芝は職人気質のおっさんを、IBMは天才肌のおっさんを登場させます。
4人パーティー全員おっさんです。
今日からいよいよ、シナリオ制作に取り掛かります。
どんなお話になるのか、お楽しみに。