打倒ジンオウガ
ジンオウガが倒せない。
先日、あつまれどうぶつの森にも飽きを感じていた頃、友人に勧められて「モンスターハンターライズ」を購入した。僕自身モンスターハンターシリーズはやったこともなかったが、少し気になっていたこともあり、言われたその日に購入した。発売から約3日、始めたタイミングは良かったはずだ。
いざ始めてみると、動きを覚えたり、敵の動きを観察したり、狩ってランクを上げて素材を集め隠し要素も見つけ防具 武器を作ってお金を稼いでetc...と、気付けば開始から1週間と少し、仕事以外の時間は全てモンハンに費やすことになった。
僕自身、音楽を趣味としていて曲を作ったりギターを弾いたり、演奏してみた動画に参加したりということを空いた時間でやっていたのだが、それらには一切手をつけられず、ギターを握るくらいだったらルドルスツインズを握ってアケノシルムを刈りにいく日々だ。
モンハンはシリーズを一切やったことがなく、どのキャラも初見で、先人の経験者の方々からすれば余裕とされる下位のジンオウガにもボコボコにされる始末である。いわゆる3乙。こいつに勝つために鍛えて装備揃えて盤石を期して…でさらに時間が溶けていく。仕事をしている最中もジンオウガのことばかり考えて、休み時間にYOUTUBEで研究を重ねている。あの雷をまとった盛大なお手攻撃をどういなすかを考える就業時間にも慣れてしまった。徒然とこんなことを書いているが、本当に良くない。許すまじジンオウガ。
…とまあ、モンハンに人生を持っていかれつつある日々ではあるが、ゲームそのものを、2020年以降結構プレイしている。しかも、どれも初めて。ポケモンもあつ森も、初めてプレイしてそれなりにハマっていた。酔った勢いで2019年初めに買ったNintendo Switch。スマブラとマリカを少しだけやる程度だったが、コロナ過に入って巣ごもり需要の波に例にもれず飲まれる形でゲームをやり始める運びとなった。
僕は齢28歳になるまで、ほとんどゲームをしてこなかった。
簡単に言えば、ゲーム機が家になかったのだ。いや、なかったは嘘で、WiiもDSもあったのだが、ソフトはほとんど買っていなかった。それ以外はファミコンや64など、本当に小さい頃にやっていたゲームで時が止まっていた。
中学にもなればみんなポケモンをやっていて、気付けばPSPなるものも発売し友人たちは教室でモンハンをプレイしていた。それを横目に、いいなあと思いながらも、斜に構えてゲームには興味ないといった面構えだけしていた気持ちの悪いモサモサ学生の僕はゲームをする経験をほとんどしないまま大人になっていった。今の年齢まで、ドラクエもFFもやったことない。
何でここまでゲームをやっていなかったのかといえば…親に買ってもらえなかったというのが一番の理由だ。買うなら自分のお金で という方針で、誕生日プレゼント クリスマスプレゼントは上限5000円まで。こんな環境ではゲーム機ひとつ買うのもやっとである。バイトもしていない中学生にとって4万近いゲーム機は一世一代の買い物だと思う。よくもまあ周りの友人たちはそんなブルジョワ高級機器を持っていたものだと、未だに疑問に思っている。ほんと、なんで?なんでそんなの持っていたの?
そんな上限5000円と決まっていた僕が親に頼めたものは中古のゲームとかで、その時にボボボーボ・ボーボボのトレーディングカードを購入していたりしていた。「ボボボーボボーボボ ハジケカードゲーム 」。周りがモンハンをやっている中、僕はボボボーボ・ボーボボのトレーディングカードを購入していた。ボーボボが好きというだけで買ったボボボーボ・ボーボボカードだったが、モンハンに比べ競技人口が全くいないことに気付いたのは悲しいかな購入直後であった。トレーディングカードなのにトレーディングする相手もいない。みんなが片手剣をもってリオレウスを狩っている間に僕は誰もやらないカードゲームをただただシャッフルするだけという無駄な時間を過ごしていた。あのときついていた「ぬ」のサイコロは、たぶんもう実家のどこにもないだろう。
そんな15~16から十数年経ったとき、ふと始めたゲーム。あの時と比べ、4万近いゲーム機も少し無茶をすれば自分で買えるまでには僕も皮だけは大人になっていた頃に、Nintendo Switchを購入した。
皆が恐らく経験してきたであろう青春に、僕も遅れて参加することになった。
もちろん、ゲームのやりすぎは昔も今も良くない。確実にやらなければならないことが出来なくなるし、時間がどんどん無くなっていく。遅れてから「時間を無駄にしたなあ」と思うことも少なくない。只、お金を自分の意志で使えるようになった今、経験してこなかった体験が出来るようになった喜びにどうしても浸らずにはいられない。
もうすぐ29にもなろうとしている大人が、仕事中にモンスターハンターのことを考えている。それでも、既に皆が通ってきた道を、この年になって通っている事は悪くない。幾つになっても、新しい楽しみに浸っていける事は良い。それはもちろんゲームに限らずだ。取り敢えず今は、ボボボーボ・ボーボボカードを独りぼっちで買っていたあの頃の僕に、モンハンの楽しさを味合わせてあげたいという気持ちでいっぱいだ。
ジンオウガも、ソロで倒せるようになってきている。上位を駆けあがり、双剣を極める日もそう遠くはない。取り敢えず今日は帰ったら、ソロで上位に挑もうと思う。