海外への挑戦 ~サッカーチームの経営者になるために~
今回、経済科学部の広報活動の一環として、萩原 正彬(はぎわら たかあき)さんにインタビューをさせていただきました。萩原さんは現在スペインに留学中で、実際にお会いすることはできなかったため、Zoomのミーティング機能を使って取材を行いました。現在行っている留学活動と萩原さんの将来の夢について貴重なお話を聞くことができました。
Ⅰ.留学
ーー留学先について教えてください。
萩原さん:スペインのバルセロナに留学しています。サッカー大国ということもあり、みんなサッカーが大好きです。カテゴリーに関わらず、サッカーの試合には多くの人が詰めかけますし、僕のホームステイ先でも、近所の子どもたちが良くサッカーをして遊んでいます。文化の違いでいうと、冷暖房がないところが印象的です。もちろん寒い・暑いはあるのですが、日本ほど寒暖差はなく、冷暖房がなくても暮らせるんです。あとは、電車の中で急にパフォーマンスが始まったりするのも驚きでした。
ーーホームステイ先はどんなところですか?
萩原さん:エクアドル人の家庭です。土日はパーティーに行って夜遅くまで帰ってこなかったり、家では陽気な音楽が大音量で流れてきたりします。とても楽しい家庭です。
ーースペイン語はもう話せるようになりましたか?
萩原さん:まだスペイン語は上手く話せないです。ちょっとずつ分かるようになってはきていますが、スペインの人は話すのが早くて。聞き取るのも難しいです。最初はスマホの翻訳機に頼りまくっていました。(笑)
ーー留学期間は?
萩原さん:大学2年生の後期から3年生の前期までです。留学期間は大学を休学しています。
ーー留学先としてスペインは珍しいと思うのですが、なぜスペインを選んだのですか?
萩原さん:もともと3年生の前期に長期留学をしようと思っていて。ただ、留学先の決定に時間がかかりそうだったのもあって、自分でもいろいろ探していたところ、「アルビレックス新潟バルセロナ フットボールアカデミー」の留学制度を見つけました。僕自身、サッカーが大好きなので、サッカー大国であるスペインへの留学はとても魅力的でした。今は、その留学制度を使って、プログラム第12期生として活動しています。
~アルビレックス新潟バルセロナ フットボールアカデミーについて~
アルビレックス新潟シンガポールが運営する留学プログラム。ビジネスパーソンや指導者など選手以外の立場でサッカーを仕事にしたい人向けの「グローバルキャリアコース」と選手としてサッカー大国スペインでキャリアアップを目指す「プレイヤーコース」の2つのコースが選べる。
ーー留学プログラムでは、「グローバルキャリアコース」と「プレイヤーコース」の2つが選べるそうですが、萩原さんはどちらを?
萩原さん:グローバルキャリアコースを選択しました。サッカーにもビジネス面とスポーツ面がありますが、僕はビジネス面の方に興味があったので。
ーーなるほど。そのプログラムでは普段どんな活動を行っているのですか?
萩原さん:普段は語学学校に通いながら、サッカーの練習などをしています。実は最近、足に大きな怪我をしてしまって、学校にも練習にも行けていないんですよね。今は、独学でスペイン語の勉強をしたり、サッカーの試合を見るなどしてサッカーの研究をしたりしています。プログラムの中にはゲストスピーカー講演などもあって、このプログラムの修了生や関係者で、現在サッカーに関わる様々な仕事をしている方々とお話をする機会もあります。けっこうプログラムでこれをやりなさい、っていうのは少なくて、自分でいろんなところに足を運んで、自分のやり方で学ぶというスタイルです。
ーー留学先での生活スケジュールは?
萩原さん:学校や練習に行っていたときはこんな生活をしていました。通学や練習場への移動に時間がかかってしまうのが大変です。学校から帰ってきたら、スペインの伝統的な文化であるシエスタ(siesta)、日本でいう「お昼寝」をしています。サッカーの練習が夜遅くなので、シエスタをしないと体力が持ちません。
ーー留学中に印象に残ったエピソードなどはありますか?
萩原さん:いくつかありますね。まず、UEFAチャンピオンズリーグの試合を見に行ったことです。『CLアンセム』というチャンピオンズリーグの試合前に必ず流される歌を聞いたときには鳥肌が立ちました。それと同時に、次はVIP という立場で絶対来てやるという気持ちにもさせられました。
ーー他にも印象に残っているエピソードが?
萩原さん:有名人に会って話したことです。プログラムでは、元アルビレックス新潟代表取締役社長で現在アルビレックス新潟シンガポールのチェアマンをされている是永大輔さんとご飯に行く機会がありました。またプライベートでも、元サッカーインド代表の和泉新さんや元サッカーカナダ代表の中島ファラン一生さんを見かけ、お話することができました。
ーー自分から話しかけに?
萩原さん:もちろん。僕の将来の夢を話したら面白がってくれました。
Ⅱ.将来の夢
ーー将来の夢は何ですか?
萩原さん:一言でいうと、サッカーチームの経営者です。経営者になるための大まかな計画も立てていて、まずは大学卒業後に、神戸大学大学院へ進学しようかなと。国際文化学研究科の小笠原博毅教授がサッカーと社会学についての研究を行っていて、僕にぴったりだと思って。そして大学院を卒業したら、ひとまず起業したいと思っています。会社を大きくした後に、その会社を売って、そのお金でサッカーチームを買い取るか、作るか。この計画を40歳までに成し遂げることが目標です。
ーーすごく具体的なところまで決まっているんですね。
萩原さん:まあ、なるようになりますよね。1番大きいビジョンは変わっていないので、細かいところはそのうち決まっていくと思います。
ーー将来の夢を意識し始めたのはいつからですか?
萩原さん:中学3年生のころですかね。サッカーが大好きなので、それを仕事にできたらいいなと考え始めたのがきっかけです。
ーースペイン留学が終了した後、将来の夢のためにどんなことを頑張りたいですか?
萩原さん:まだ確定ではないのですが、ドイツに1年間交換留学をしようと考えています。ドイツもスペインと同様に、サッカーで有名な国なので、そこでまたサッカーについて学べればなと。あとは、MBAやサッカー指導者ライセンスなど、いくつかの学位や資格も取りたいです。今お世話になっているインターン先の役に立ちたいという気持ちもあるので、インターンも頑張りたいです。
~MBAとは~
Master of Business Administrationの略。日本語では経営学修士、経営管理修士と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位である。
ーーMBAやサッカー指導者ライセンスも将来のために?
萩原さん:指導者ライセンスの方は、完全に趣味ですね。MBAは、実際にこの学位を取るためにスペインに来ている人と話す機会がありますが、大企業での勤務経験がある方も多く、ビジョンの立て方など、「すごい」と思う人ばかりです。そういった人たちの影響で僕もオーナーになりたいと改めて思ったので、その夢のためにMBAを取りたいと考えています。
ーーインターンもされているとのことでしたが、どんな仕事をしているのですか?
萩原さん:具体的な企業名などは伏せますが、ある企業の社長直属の仕事をしています。社長に直談判したら、面白がられて採用が決まりました。(笑)社長は僕と同じように‟ビジョン“がずっとある人で、人生相談にも乗ってくれます。学ぶことがとても多いです。
Ⅲ.大学生活
ーー出身は神奈川県、中学・高校は鹿児島県とのことですが、なぜゆかりのある土地ではなく新潟大学を志望したのですか?
萩原さん:学力的な面もありますし、寒いところに行ってみたいという気持ちもあって。でも、1番の理由はアルビレックスプロジェクトというサークルに入りたかったからです。サッカーを「見る」サークルは珍しいので、とても興味を持ちました。
ーー所属していたサークルや部活動について教えてください。
萩原さん:在学中はアルビレックスプロジェクトの他に、サッカー同好会と水泳部に所属していました。アルビレックスプロジェクトはアルビレックス新潟を応援するサークルで、僕自身はホーム戦の他に地元・横浜で開催されたアウェー戦を見に行きました。サッカー同好会は、大学1年生の6月に僕と友達で新しく設立しました。僕自身は監督兼選手のような形で活動していましたが、創部4か月で全国大会に出場することができ、とてもいい思い出になりました。また水泳部では、大会に向けた練習などをしていましたが、怪我で手術を受けるなど、活動にあまり関われない時期もありました。
ーー大学1年生のときに頑張ったことなどはありますか?
萩原さん:サッカー同好会を作ったり、短期留学をしたりと、とにかくやりたいことをやりました。あとは、たくさんの人と話すことですかね。サークルや部活動、授業で一緒になった人だけではなく、留学するにあたって、新潟大学に来ている留学生や国際交流担当である資料室の先生と仲良くなれたことも自分の中で良かった点かなと思っています。
ーー短期留学について教えてください。
萩原さん:1年生の夏にオーストラリアの西シドニー大学に行きました。新潟大学の国際交流プログラムを使って、2週間ほどの滞在でした。英語とSDGsについて学ぶことができました。
ーー経済科学部の中でも4つのプログラムがあります。所属していたプログラムとそのプログラムの魅力を教えてください。
萩原さん:僕は学際日本学プログラムに所属していました。このプログラムでは、幅広い分野を学べますし、人数が少ない分、同級生や先生と関わる機会が多いのが魅力だと思います。
ーー最後に、新潟大学を目指す人に一言お願いします。
萩原さん:やりたいこと、好きなこと、何でもいいので見つけてください。それに対してとことん突き詰めるために大学を目指してください。
ーー留学、そして将来の夢、応援しています。ご協力ありがとうございました。
萩原さん:ありがとうございました。
文・佐藤夕海
新潟大学経済科学部 地域リーダープログラム2年(掲載時)
作成日 2025.1.28