【前編/地域リーダーへのインタビュー⑤】にいがたイナカレッジ:井上有紀さん ~楽しむ力・話を聞く力が人を惹きつける~
■編集・執筆:齋藤 可奈【2年(掲載時)】
■インタビュー:齋藤 可奈、遠山 颯土【3年(掲載時)】
(2名とも新潟大学経済科学部地域リーダープログラム所属)
地域の課題解決のために人々を率いていく“地域リーダー”とはどのような力があり、どのような考え方を持つ人なのか。それを考えるために、現在地域で活躍されている、にいがたイナカレッジの井上有紀さんにインタビューをしてきました!
にいがたイナカレッジとは、地域と学生をつなぐ一か月のインターンシップや、週末に地域に通うプロジェクトを、毎年学生に向けて運営している団体です。
中越地震の時、ボランティアの学生と被災地のお年寄りとの交流を見て、「移住する後継者だけでなく、交流や地域とのつながりを得ることを目的として様々な若者に来てもらうことが必要なのではないか」と感じたことから、2012年にプログラムをスタートしたそうです。
井上さんはにいがたイナカレッジの学生向けプログラムの初期のインターン生で、現在はそれらのプログラムのコーディネーターとしてご活躍されています。
そんな井上さんに以下の質問をインタビューし、理想の地域リーダー像について考えました!
【前編】
1.今までの活動を通して実感したこと
井上さんは、にいがたイナカレッジに就職する前に、大学3年生の時にゼミ活動で新潟を訪れました。そこで新潟に興味を持ち、大学4年生の時に、米屋さんの飯塚商店さんとともに、食と暮らしにまつわるイベントを行う「コメタク」という団体を友人2人と発足しています。その活動を通して実感したことを伺いました。
――コメタクでの取り組みを通しての成果は何だと思いますか。
井上さん:
コメタクを発足した3人は、誰も新潟出身でもなく、新潟の大学生でもなかったので、何もない商店街に何しに来るのか?という懐疑的な目が最初は少しありましたが、私たちが地域で楽しく暮らし、活動しているところを見てもらうことで、地域の人たちが地域を肯定する気持ちをほんの少し上げることになっていたのではないかなと思います。
また、様々なイベントを通して、店主の方が大学生たちの訪問に慣れて、私たちがいなくなっても丁寧に対応し続けてくれているので、いまだに大学生たちがお米を買いにきたり、就活の悩み相談に来たりという交流が続いています。そういった現象がここ数年ずっと起きているのは成果の一つだなと感じます。
――参加した方々との交流から得られるものはありましたか。
井上さん:
企画側ではありましたが、大学4年生ということもあり、イベントに参加することで経験を得る当事者でもありました。
一人暮らしでは毎日丁寧にご飯が作れなかったり、バタバタとすることが増えたりする。けれど、イベントを通して一緒に悩む仲間を増やし、仲間と同じ景色や食事の場を共有する機会は確かに幸せなことだし、社会人になっても忘れずにいられるのは、学生時代に大事にしたいことだと実感できたからだと思います。
2.自分を動かす原動力
――では、今の自分を動かす原動力になっているものは何ですか。
井上さん:
「地域の課題を解決したい」や「学生が成長してほしい」よりも、知りたいという気持ちです。
この人がこんな表情をして、こんなことを言うんだという発見や、この地域でこれをしたらどうなるんだろうという、実際にやってみないとわからない変化が見たいです。
それは8年間見続けても変わらず、短い中での変化だけでなく、3年、5年たつとまた違う変化もある。まだまだ見たいですね。
3.就職する決断のきっかけ
――井上さんは東京出身だそうですが、新潟に就職するにあたってのきっかけや苦労したことはありますか。
井上さん:
就職の前に1年間新潟にいたので、新潟のことは大好きになっていましたが、就職となると話は別だなと最初は思っていました。
大学では農学部で農村政策などを勉強していたこともあり、日本の農村や地域の魅力を発信できるような仕事がしたいなと思って就活をしました。しかし、卒論のヒアリングで新潟を訪れたときに、先ほど話したような、生活の時間を大切にしたい、この地域の変化を見たいと改めて思い、新潟に就職したいと思いました。
あともう一つ、尊敬できる人が上司にいるかを見ました。職場で成長するためには、この人の下で働いたらきっといい方向に進むと思える人のそばにいたほうがいい。それが私にとっては新潟イナカレッジのセンター長さんでした。そこが決断のきっかけになりましたね。
(記事は中編・後編へ続きます!)
【中編】
4.経験から得られた考え方
5.学生が持つ力とは
6.井上さんが考える地域リーダーとは
【後編】
7.地域の課題解決に興味を持つ学生に向けてのアドバイス
8.インタビューを通して考えた理想の地域リーダーとは
9.インタビュアーをしてみての気づき
10.今後の自分に生かしたいこと
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