見出し画像

【前編/地域リーダーへのインタビュー⑥】三条市特命空き家仕事人:熊谷浩太さん ~地域を盛り上げ続ける人~

■編集・執筆: 遠山颯土【3 年(掲載時)】
■インタビュー: 遠山颯土、齋藤可奈【2 年(掲載時)】
(2 名とも新潟大学経済科学部地域リーダープログラム所属)


今回は、新潟県内において「地域リーダー」として活動をされている方にインタビューを行ってきました。
取材に応じてくださったのは、現在、三条市特命空き家仕事人として空き家問題の解決に向けて取り組んでいらっしゃる、熊谷浩太さんです。

熊谷浩太さん
東京都八王子市出身で、大学を卒業後、JR東日本に入社。
不動産デベロッパーなどを経て、株式会社ジェクトワンに入社し、空き家対策・活用に携わる。
現在は新潟県三条市から「特命空き家仕事人」に任命され、同市の空き家対策を実施している。


【前編】


1.「特命空き家仕事人」としての活動

――特命空き家仕事人として活動を始めたきっかけはなんですか?

熊谷さん:
三条市からオファーを頂いたことから始まりました。
東京のジェクトワンという会社に所属していて、空き家活用事業を展開しています。「がっちりマンデー!!」というテレビ番組に、空き家の特集でうちの会社が出る機会があり、それをきっかけに全国に会社の名が広まりました。
ちょうどその時期に三条市が空き家対策を行うために、外部から専門人材を入れて改革しようとしていて、三条市の職員が全国の空き家に特化した事業を展開している企業を探している中で、うちの会社にお声がかかりました。それで、三条市の職員の方々と話をする中で三条市の本気度合いを感じて、会社でどうしようかと協議した結果、自分に白羽の矢を立ててもらいました。

――2022 年から、特命空き家仕事人として活動をされていますが、3年目の今年取り組みたいことはなんですか?

熊谷さん:
3 年間って本当に短いなって思っていて、1 年目はトライ&エラーで色々なことをしました。2 年目はそこから見えてきた課題の対処や 1 年目にやってきたことを形にしました。3年目は体制の構築をしたいと考えています。

主に3つ考えていて、1つ目は、三条市の空き家対策が継続的に動き続ける状況を作ることです。
2つ目は、自分たちに関わる人の点をもっと増やしたり大きくしたりすることです。
3つ目は、若者が来たい・住みたいと思えるような場所づくりを空き家という問題を通して作ることです。現在、長岡技術科学大学と eスポーツを空き家でやってみようか?という話し合いが進んでいたり、学生や外国人のためのシェアハウスだったり交流の場を切り口に、実現していきたいなと考えています。

2.空き家への関心

――大学時代から空き家に関心をお持ちでしたか?

熊谷さん:
大学時代は建築学科に在籍していたんですけど、学生の頃からコンペとかに参加するんですね。そういった自分のアイデアを形にすることが好きで、今までやってきたことを踏襲することよりも、新しいアイデアを出す方が自分には向いていて強みにしていきたいと思っていました。時代の変化に対応した事業やプロジェクトを作っていくことに興味がありました。それが今にもつながっていると思います。

――空き家というより、新しい事業を考えることに関心があったのですね。

熊谷さん:
高校生の頃に家をリフォームする機会があって、建築士の方が今の時代風な素晴らしい家にしてくれたり、当時「劇的ビフォーアフター」という番組があってリノベーションする姿を見たりして、クリエイティブな仕事に就きたいなと感じました。そこから工学部に進みましたが、まだ当時の興味関心は漠然としたものでした。

――JR 東日本を退社されて、ジェクトワンに入社しようと考えたきっかけはなんですか?

熊谷さん:
町や社会に意味のある仕事がしたいと考えていたので、JR 東日本は駅を作るなど社会に影響力が大きいこともあり、駅が変われば町も変わるのではと思い JR 東日本に入社をしました。
当時から既存ストックという言葉が出始めていて、スクラップアンドビルドという老朽化した建物を建て替えすることがあまり行われていないことに問題意識を持っていました。

自分の人生の理想としては、だんだんとキャリアを大きな会社から小さな会社にしぼめていくけれども、その地域で幅広く事業をやっていきたいと思い描いていました。なので、最初は大企業に入社して、大きい組織の中で大規模な事業の立ち回り方を学ぼうと考えていました。そこで入社してから6年経って、ある程度学んだかなと思い、退社しました。

その後すぐジェクトワンに入社したわけではなく、その間にマンションのデベロッパーをやりました。
全国の再開発やマンションの建設に携わるフージャースコーポレーションという会社で働いている中で、仙台や石巻といった震災で被害にあった地域にも行きましたし、その仕事を通して地方都市に興味を持つようになりました。
入社してから3年経って、自分で新しい事業を立ち上げたり、別の部門で新しい建物を建てたりしたいと考えていた時に、ジェクトワンという会社が不動産会社でありながら空き家という社会問題にトライしていこうとしていて、ここなら新たな挑戦をしながら面白い体験ができるのではないかと感じて入社しました。

――お話を聞く中で、自分のやりたいことが決まっているように感じました。自分のやりたいことは自然と見つかったのですか?

熊谷さん:
自分のやりたいことがずっと同じではないと思っています。

自分は、人の生活やライフサイクルの変化に影響を与える仕事をずっとしたいと考えていて、最初は大きいものを作りたいという思いがあったんですけど、その後、地方で再開発に携わっているうちにそちらの方が面白いと感じたり、建物を建てることで目の前の風景がガラッと変わるのを直接感じたりした事で、やりたいことが変化していきましたね。

現在の会社に入社してからすぐに、新型コロナウイルスが流行して出社しなくなり、フルリモート化したことで、東京にいる必要がないと感じたので、自然豊かな環境で生活した方が自分や家族にとってもいいし、これからの地方に可能性を感じました。都市部にいなくても自分の仕事ができると考えていた時に三条市の話が舞い込んできて、これはチャンスだと思いました。

他には、人が凄く大事だと思っていて、自分1人ではできなくても後輩や同期などの仲間がいることで実現できることがあるし、自分にできることが一つしかなくても、他の人と繋がることでやれることが広がります。
それは、三条に来てからより一層感じるようになりました。


(記事は後編へ続きます!)
【後編】
3.三条市について
4."地域リーダー”像についての考察
5.インタビュアーをやってみての気づき
6.今後の自分に活かしたいこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?