行動力の男 ~学習塾開校、春日一心さん~
「新潟大学経済科学部でユニークな活動を行っている学生を紹介し、経済科学部の広報をしよう」という活動のなかで、どうやら学習塾を開校した方がいるということがわかり、ありがたいことに取材にも応えていただけるとのことなので、インタビューさせていただきました!
回答していだいた人
春日一心(かすがいっしん)さん。新潟県十日町市に生まれ、中学、高校を県内で過ごしたのち、新潟大学経済科学部へ入学。現在2年生。学習塾「新大塾」を開校した。座右の銘は「全部うまくいく」。漫画『キングダム』の桓騎将軍(かんきしょうぐん)というキャラクターのセリフだそう。
本稿では塾についての話を軸に春日さんの魅力的な人物像を伝えようと思います。
──快くインタビューを承諾してくださり、ありがとうございます。本日はよろしくお願いします。
春日さん:
よろしくお願いします。
──なぜ塾を開校しようと思ったのですか
春日さん:
「教育界、教育格差を変えたい!」というような大義名分は別になくて、始まりは友人との「暇なら塾つくらね」というメッセージでした。なにか起業がしたいとは考えていて、それがたまたま塾だった、というのが正直なところですね。将来的にはピボットしたいとも考えています。
──ピボット?
春日さん:
事業転換、方向転換みたいな意味です。
──最終的にどんな事業をしようかはもう考えてるんですか?
春日さん:
具体的な事業は決まってないです。ただお金を貯めて次にくるビッグウェーブに乗りたいです。今で言うとAI、20年前で言えばスマホ、みたいな。そのための資金集めがしたいので「なにかしないとな」と思い塾を始めました。きっかけはこんなのですが塾の事業も相手の方がいてくれてなので、始めたからには全力でやります。
──行動力が素晴らしいですね。塾まで来る道中、山田さん(春日さんと共に塾を開校したメンバーの一員。彼に塾まで案内してもらいました)も行動力がすごいと褒めていました。
春日さん:
僕は大体のこと、なんとなくで動くんですよね。自分はいろいろなことに興味があってアイデア出しみたいな「0から1」の部分が得意だと思っています。その1を100にするのは一緒に活動してくれる人の力あってですね。具体的なことで言うと、この塾の内装なんかは僕の弟がほぼほぼやってくれてます。僕は外部とのコミュニケーション担当みたいな感じですね。
──1を100にできる同志が集まるのも高い行動力をはじめとする春日さんの魅力的な人間性が理由なのかもしれないですね。
──具体的にはどんな塾なんですか
春日さん:
名前は「新大塾(しんだいじゅく)」、キャッチフレーズは「学びの限界は、ここで超える」。対象は小学4年生から中学3年生までです。今後、高校生まで拡大したいとは考えています(追記:1月19日に追加で話を聞いたところ高校生まで拡大したそうです)。コンセプトとしては生徒たちのサードプレイスになる塾にしたいです。1つ目が家、2つ目が学校、3つ目がここ。『通い放題』のプランをつくることでそういう場所にしたいですね。そしてタブレットを用いてICT教材を使うことで「属人性のない塾」にします。
──属人性のない、というと?
春日さん:
塾は講師に依存すると思っていて。新潟大学の周りには大学生がたくさんいるので講師になれる人材がたくさんいますが、僕の出身である十日町とかだと個別指導の塾ができるほど大学生はいません。だからそういった場所にICTを持っていけば講師に依存しないような塾ができるのではないかと思うんです。
──自身の育ってきた環境から着想を得ているんですね。
春日さん:
そうですね。「自分の経験から着想を得た」という点でいえば対象の小学4年生から中学3年生まで、というのもそうです。
──たしかになんでそこが対象なのかは気になりました。ぜひ教えてください。
春日さん:
僕が高校3年生になり「さぁ受験勉強するぞ」と意気込んだ時に、基礎がなってなかったことが原因で中学校の内容から復習することになってかなり苦しかったんです。そして中学校でやる内容は小学校の内容の発展じゃないですか。だから小学校、中学校で勉強をまともにしなかったことが原因で高校生になって自分のように苦労することになる学生を減らしたいという思いがあります。
──なるほど、生徒さんにもその思いが伝わるといいですね。
──「新大塾」という名前はどんな由来なんですか?新潟大学となにかつながりがあるんですか?
春日さん:
お世話になっている経営者の方に新大塾がいいんじゃないか、と提案されたことが由来です。名前や立地からして新潟大学と関係しているような気がするかもしれませんが、新潟大学とは一切関係ないですよ。
──そうだったんですね。ちなみにこの場所はどんな理由で決まったんですか?
春日さん:
ここは五十嵐小学校、五十嵐中学校、新潟清心女子中学高等学校が近いのでこの塾の対象としている小学生、中学生が通いやすいかな、と考えました。小学生、中学生は移動手段が限られているので「家や学校からの近さ」というのは塾を選ぶ際に意識するポイントになると思います。
──利用してくれる人の目線になって「どうすれば喜んでくれるのか、どうだったら利用したいと思うのか」を考える、そんな心配りができるのも春日さんの魅力の一つですね。
──学生という立場で「事業を起こそう」というのは思ってもなかなか行動できない人が多いと思います。
事業を始めるにあたって意識していることはありますか?
春日さん:
失敗してもいいから行動してみることですね。「考えるよりも先に行動する、行動してから考えればいい」ということは意識しています。
──時には失敗も経験しながら成長していけばいいってことですね。かっこいいです。
春日さん:
そうです。これは浪人時代から得た教訓です。実は僕1浪してるんですよ。でも浪人していた僕でもこういうことができるのだから、現役で入った人たちならもっとすごいことができる可能性を秘めていると思います。だからこそ可能性を持った人たちが「お金がない」とか「時間がない」と言って行動できないでいるのはもったいないという風に感じますね。
──過去の自分の経験も糧にして前に進んでいくことができるからこそ春日さんは周りの人たちを惹きつけることができるのかもしれないですね。
──今後の展望、そして記事を閲覧する方に向けて一言お願いします。
春日さん:
改めてになりますが、「教育界を変えたい」という大きな話はしません。ただ「周りの関わってくださる人のQOLを上げたい、関わってよかったと思っていただきたい」という一心で今後も頑張ります。そして記事を読まれる方へ、新大塾はこれから頑張っていきますので弟や妹がいらっしゃる方、ぜひおすすめしてください。
──長い時間、インタビューに付き合ってくださりありがとうございました!新大塾、ひいては今後の春日さんの活動を応援しています。
執筆日:2025.1.14
著者:日比野湘太 新潟大学経済科学部地域リーダープログラム2年(掲載時)