LifeClips再録②
【ネタバレに配慮しなくても多分大丈夫な忘備録~Ken's Barに行くたびに失われるもの~】2020/02/20
人生初のライブはおそらくいつぞやのKen' Barです。
平井堅さん、いやもう親しみと敬いを込めてKENと呼ぼう。
KENさ、大抵の人間のどこかしらのステージにあまりにも自然に寄り添って来ません?
ある人は青春の1ページに、ある人は好きな映画の主題歌として、ある人はファミレスのBGM、ある人はたまたまつけた音楽番組でやたらと濃い諸々に目が離せなくなって、等々。
「何年何月から好きです」とか「〇〇からファンです」とか明確な線引きができない、「気付いたら生活の一部になっていた」くらいの浸透力をKENに感じて久しいのです。
そうして「平井堅の楽曲はどこかしらそこらじゅうで耳にするけれど、人となりはよくわからないしライブ行かなくてもCD音源で十分満足だな」と、付かず離れずの絶妙な距離感でKENと歩んでいたある日、昔のダチからの突然の連絡!「Ken's Bar行こうよ!」とのお誘い!
そこから私はずっと失い続けているものがあります。
そもそも大きな音が得意ではないのと、こんなことを言っては失礼だと承知の上でそれでも言いますが、「好きなアーティストに対してがっかりしたくない」という恐怖がつきまとってライブ=生歌へ及び腰になっていました。
ほら、編曲が、アレンジが、素晴らしい曲も多いじゃないですか。
CD音源はある種の「安心」です、だっていつだって何度聞いたって同じクオリティで同じ長さで同じ揺らぎで好きな曲が楽しめるんですもの。
どうしたって人間のやることなすことにはバラつきが出るのが世の常ってもんで、アーティストを人間だと認識してがっかりするのを恐れていました。
編集ありきの「安心」で満足していました。
それでね、忘れもしない横アリの、2階席。
開演前の微かなザワつきが遠退き、割れんばかりの拍手をブチ破って圧倒的なアカペラの第一声が響いた時。
「.........は?歌うっっっっっま!!!!!」
こうして今日も私はこれまでに蓄えてきた語彙の数々を失い続けています。