米大学、衣服に印刷して電力を供給できる超薄型軽量キャパシタを開発:注目ニュース✨
ノッティンガム・トレント大学(NTU)が主導する研究により、衣服に直接インクジェット印刷可能な超薄型・軽量・フレキシブルなエネルギー蓄積デバイスが開発されました。
この革新的な技術は、電子テキスタイル(e-テキスタイル)の実用化に大きな一歩を記しています。電子テキスタイルについてはこちらの記事で詳しく説明しているので、良ければ読んでみて下さい👇
NTU、ウエスト・オブ・イングランド大学(UWE)、およびエクセター大学の共同研究チームは、持続可能な方法で健康管理アプリケーションをサポートするための高性能マイクロスーパーキャパシタの開発に成功しました。
この新技術により、衣服の生地に直接電極を印刷することが可能となり、装着性と洗濯耐性を維持しながら、持続可能な電力供給を実現できるようになりました。従来のバッテリーと比較して、充放電速度が速く、寿命が長く、コスト効率も高いという特徴を持っています。
研究チームは、グラフェン、二硫化モリブデン(MoS2)、六方晶窒化ホウ素(h-BN)という3種類の二次元材料を活用し、インクジェット印刷技術によってヘテロ構造を形成することに成功しました。この構造では、グラフェンを導電体として上下層に配置し、MoS2を半導体として、h-BNを絶縁体として中間層に配置することで、高性能なマイクロスーパーキャパシタを実現しています。
ナズムル・カリム教授は、この技術が医療分野における非侵襲的なモニタリングを可能にし、パーソナライズドヘルスケアの実現に大きく貢献すると期待を寄せています。特に、従来の電子テキスタイルの実用化を妨げていた電源供給の課題を解決することで、医療モニタリングやスマートウェアの分野で革新的な進展が期待されています。
この技術の最大の特徴は、インクジェット印刷による高精度な材料配置が可能であることです。これにより、テキスタイル基材上に精密な電子回路を形成することができ、実用的なウェアラブルデバイスの開発が大きく前進しました。また、この技術は環境に配慮した持続可能な製造プロセスを実現しており、次世代のスマートテキスタイル産業における重要な基盤技術となることが期待されています。
まとめ
世界初のインクジェット印刷による衣服用エネルギー蓄積デバイスの開発に成功
洗濯可能で実用的な電子テキスタイルの実現に大きく前進
医療分野での活用に特に期待
持続可能で環境に配慮した技術
次世代ウェアラブルデバイスの電源として有望
専門用語解説
・e-テキスタイル:電子部品や導電性素材を組み込んだ織物
・マイクロスーパーキャパシタ:超小型の電気二重層キャパシタで、高速充放電が可能な蓄電デバイス
・ヘテロ構造:異なる材料を積層して形成する構造体
・二次元材料:原子1層分の厚さしかない超薄型材料
・インクジェット印刷技術:液滴を精密に制御して基材上に材料を堆積させる印刷方法
・グラフェン:炭素原子が六角形の格子状に並んだ単層構造を持つ材料
・二硫化モリブデン:半導体特性を持つ層状化合物
・六方晶窒化ホウ素:優れた絶縁特性を持つ二次元材料
#電子テキスタイル #ウェアラブル #スーパーキャパシタ #インクジェット印刷 #ヘルスケア
参考文献
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