デンソーとローム、半導体分野で戦略的提携を発表:注目ニュース✨
発表日:2024年9月30日
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市)とローム株式会社(本社:京都市右京区)が、半導体分野における戦略的パートナーシップの検討開始を発表しました。この提携は、急速に変化する自動車産業において、両社の競争力強化と市場シェア拡大を目指す重要な戦略として注目を集めています。
自動車産業の変革期と半導体需要の急増
自動車産業は現在、100年に一度と言われる大変革期を迎えています。カーボンニュートラル実現に向けた電動化の加速、自動運転技術の進化、コネクティッド機能の拡充など、クルマの在り方が根本から変わりつつあります。
これに伴い、車載半導体の需要は急速に拡大しています。調査会社IDCによると、2025年の車載半導体市場は約830億ドル(約12兆円)規模に達すると予測されており、2020年比で年平均成長率(CAGR)13.2%の高成長が見込まれています。
パートナーシップの狙いと期待される成果
安定供給体制の構築
世界的な半導体不足への対応
サプライチェーンの強化と多様化
次世代半導体の共同開発
SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などの新材料を用いたパワー半導体の開発
高効率・小型化を実現する車載用アナログICの開発加速
環境負荷低減への貢献
電動車の航続距離延長に寄与する高効率半導体の実現
半導体製造プロセスにおけるCO2排出量の削減
パワー半導体は直流と交流の変換および電圧変換を行う半導体です。詳しくはこちらの記事で詳しく説明しているので、良ければ読んでみて下さい👇
両社の強みと相乗効果
デンソー:
世界シェア約10%を誇る自動車部品メーカー(2023年度売上高:5兆9,315億円)
車載システムの設計・開発力
自動車メーカーとの強固な関係
ローム:
アナログ半導体で世界シェア約7%(2023年度売上高:4,521億円)
幅広い半導体製品ラインナップ(パワーデバイス、アナログIC、センサなど)
高品質な製造技術と生産能力
両社の技術と知見を融合することで、設計から製造まで一貫した開発体制を構築し、市場ニーズに迅速に対応する製品開発が可能となります。
市場競争力の強化
本提携により、デンソーとロームはインフィニオン(独)やNXPセミコンダクターズ(蘭)といった海外大手半導体メーカーに対抗する競争力を獲得します。特に、電動車向けパワー半導体市場では、2030年までに世界シェア20%の獲得を目指すとしています。
特にインフィニオンは、現在パワー半導体のシェアで世界一の会社です。最近、世界初の300mm GaNウェハー技術を開発したことを発表しており、高い技術力を持っています。
今後、デンソーとロームの提携に期待したいですね。
環境・社会への貢献
本パートナーシップは、単なる事業戦略にとどまらず、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みです。高効率な半導体の開発・普及により、2030年までに自動車1台あたりのCO2排出量を現在比30%削減することを目指しています。
デンソー 林 新之助社長のコメント: 「この戦略的パートナーシップにより、我々は自動車の電動化と知能化を加速し、より安全でクリーンなモビリティ社会の実現に貢献できると確信しています。ロームとの協業を通じて、世界をリードする技術革新を生み出していきます。」
ローム 松本 功社長のコメント: 「デンソーとの連携強化は、我々の車載半導体事業を新たな段階へと押し上げるものです。両社の強みを最大限に活かし、自動車産業の変革を支える革新的な半導体ソリューションを提供してまいります。」
まとめ
デンソーとロームの戦略的パートナーシップは、自動車産業の電動化・知能化を加速
2025年までに830億ドル規模に成長する車載半導体市場でのシェア拡大を狙う
次世代パワー半導体や高性能プロセッサの共同開発により、競争力を強化
2030年までに自動車1台あたりのCO2排出量30%削減を目指し、環境負荷低減に貢献
両社の技術融合により、世界トップクラスの車載半導体ソリューション提供を実現
この戦略的パートナーシップは、日本の自動車産業と半導体産業の競争力強化に大きく貢献すると期待されています。今後の具体的な成果と、自動車技術の進化に与える影響に注目が集まっています。
専門用語
SiC(シリコンカーバイド):高耐圧・低損失を実現する次世代パワー半導体材料
GaN(窒化ガリウム):高周波・高出力動作が可能な半導体材料
パワーモジュール:複数のパワー半導体素子を1つのパッケージに集積したもの
全固体電池:液体電解質の代わりに固体電解質を用いた次世代蓄電池
CAGR(Compound Annual Growth Rate):年平均成長率、一定期間における平均的な成長率を示す指標
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