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北京大学、世界初のカーボンナノチューブベースのテンソルプロセッサを実現🚀
発表日:2024年7月22日
2024年7月24日、北京大学の研究チームが世界初のカーボンナノチューブを基盤としたテンソルプロセッサーチップを発表しました。この技術は、人工知能(AI)処理技術において重要な前進になるでしょう。
この記事では、その概要について説明します。
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カーボンナノチューブの特性と利点
従来のシリコンベースの半導体は、現代のAIのデータ処理要求に対応するには限界があります。シリコンベースのチップのサイズ縮小と電力消費の増加という課題に対処することが求められています。
カーボンナノチューブ(CNT)は、優れた電気特性と超薄構造で知られており、より高性能で効率的な新素材として注目されています。CNTについてはこちらの記事で詳しく説明しているので、良ければ読んでみて下さい👇
北京大学のZhiyong Zhang 教授らの研究グループは、カーボンナノチューブトランジスタが商用シリコントランジスタに比べて速度と電力消費の両方で優れていると述べています。このトランジスタは、エネルギー効率の高い統合回路とシステムの製造を可能にし、AI時代において重要な役割を果たします。
研究の詳細
この研究は、Nature Electronics誌に「A carbon-nanotube-based tensor processing unit」というタイトルで発表されました。
研究チームは、カーボンナノチューブトランジスタとテンソル演算の特性を活用した革新的なシストリックアレイアーキテクチャ(SAA)を提案しています。このアーキテクチャは、ムーアの法則を延長する可能性を提供します。
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このテンソルプロセッサーユニット(TPU)は、3,000個のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを基盤とし、エネルギー効率の高い畳み込み演算と行列乗算を実行できます。
TPUはシストリックアレイアーキテクチャを採用しており、並列2ビット整数の乗算累積演算を可能にします。
このTPUを使用した5層の畳み込みニューラルネットワークは、MNIST画像認識で最大88%の精度を達成し、消費電力はわずか295マイクロワットです。
さらに、最適化されたナノチューブ製造プロセスにより、99.9999%の半導体純度と超クリーンな表面を実現し、高いオン電流密度と均一性を持つトランジスタが得られます。システムレベルのシミュレーションを用いて、180ナノメートル技術ノードで製造された8ビットTPUが、主周波数850MHzと1ワットあたり1テラ操作のエネルギー効率を達成できると推定しています。
この技術は、高性能コンピューティングにおけるカーボンナノチューブ技術の可能性を示し、より効率的で強力なAIシステムの進歩に新たな可能性を開きます🚀。
北京大学の紹介
北京大学(Peking University、略称:PKUまたは北大)は、1898年に設立された中国初の国立総合大学です。
中国の首都北京の文教地区である海淀区に位置し、燕園キャンパスをはじめ、医学部キャンパス、昌平キャンパス、大興キャンパス、無錫キャンパス、深センの大学院キャンパスの6つのキャンパスを持っています。北京大学は、理学部、情報工学部、人文学部、社会科学部、医学部の5学部を有し、120の専門学科を提供しています。
また、北京大学は中国の学術研究人材の宝庫として、科学研究と教育の社会サービスを一体化した総合的な大学です。
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まとめ
中国の研究チームが世界初のカーボンナノチューブベースのテンソルプロセッサーチップを発表しました。
シリコンベースの半導体の限界を克服する新素材としてカーボンナノチューブが注目されました。
カーボンナノチューブトランジスタは速度と電力消費でシリコントランジスタを上回ります。
新しいシストリックアレイアーキテクチャがムーアの法則を延長する可能性を提供しています。
高性能コンピューティングとAIシステムの進歩に新たな可能性を開く可能性があります。
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専門用語の説明
カーボンナノチューブ:炭素原子が六角形の格子構造を持つナノスケールのチューブ。
テンソルプロセッサーチップ:テンソル演算を効率的に処理するための専用チップ。
シストリックアレイアーキテクチャ:並列処理を効率的に行うためのハードウェア設計。
ムーアの法則:チップ上のトランジスタの数が約2年ごとに倍増するという予測。
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参考文献
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