【最新ニュース】Rapidus NEDOから追加5900億円支援が決定
発表日:2024年4月2日
発表概要
国策半導体会社とも呼べるRapidusが2024年度予算として国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、前工程の研究開発に最大5365億円、後工程の開発に535億円と合計で最大5900億円が採択されたことが発表されました。
具体的な枠組みとしては、以下です。
「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発 事業/先端半導体製造技術の開発(委託)」
ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業 | 事業 | NEDO
それぞれの個別課題についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
前工程:「日米連携に基づく2nm世代半導体の集積化技術と短TAT製造技術の研究開発」
この前工程の研究開発では、北海道千歳市で製造拠点IIM(イーム・Innovative Integration for Manufacturing)の建設、米国IBM社へのエンジニア派遣による2nm世代のロジック半導体の量産技術開発を進めています。今回の計画・予算の承認により、2025年4月からのパイロットライン稼働に向けて、クリーンルームの稼働開始、EUV露光機をはじめとする製造装置の導入を進める模様です。
後工程:「2nm世代半導体のチップレットパッケージ設計・製造技術開発」
後工程の研究開発では、2nm世代の半導体を用いたパッケージの大型化及び低消費電力化を実現する実装量産技術・設計に必要なデザインキット、チップレットのテスト技術の確立を目的に、チップレットパッケージの設計・製造技術を開発しています。
解説
多くのニュースには最大5900億円という見出しがついており、あからさまに税金の無駄使いではないのか?という風潮を助長しているように思えます。実際に、RapidasのHPで一次情報に当たったところ、上記のような金額については一切触れられていませんでした。物価高騰に苦しんでいる世間一般への配慮なのでしょうか。
では5900億円という金額が前工程に投入されるのは、妥当なのでしょうか?自分は最低限必要な投資であると考えます。
2 nmのような最先端半導体を作るためには、リソグラフィ工程において、13.5 nmの波長をもったEUV露光機が必要になります。EUV露光機はオランダのASML社が独占しているため、一台の価格は500億円とも言われます(ちなみに領域選択ALDのようなボトムアップによる手法も開発が進められており、それが実現すれば大幅なコストダウンになる可能性を秘めています)。当然露光機だけ導入すればよいわけではなく、成膜、エッチング、熱処理、テストなど数多くの装置が必要になります。
どのような予算配分になるのかまでは明らかになっていませんが、5900億円は2 nmの半導体を作ろうという目的を達成するためには最低限必要な投資であると私は思いました。
2027年からロジック半導体を量産化するとの目標を掲げているようなので、店頭でRapidas社のロゴが入ったCPUを搭載したPCが買える日を楽しみに待ちたいと思います。
それでは!