
キオクシア、酸化物半導体を用いたDRAMなど3件の技術が国際会議IEDMに採択:注目ニュース✨
発表日:2024年10月21日
キオクシア株式会社は、2024年12月に開催される国際会議IEDM 2024において、次世代メモリ技術に関する3つの重要な論文が採択されたことを発表しました。
■技術革新の背景
急速に発展するAI(人工知能)やデジタル社会において、半導体メモリの重要性は増す一方です。現代のコンピューティングシステムは、主に以下の階層構造で構成されています:
DRAM:CPUの高速データ処理用主記憶装置
SCM:DRAMとフラッシュメモリの中間層
フラッシュメモリ:大容量データストレージ

(引用元:https://www.kioxia.com/ja-jp/about/news/2024/20241021-1.html)
DRAMとフラッシュメモリの詳細についてこちらの記事で詳しく説明しているので、良ければ読んでみて下さい👇
■3つの新規メモリ技術
1.酸化物半導体を用いたDRAM技術 (OCTRAM:Oxide-Semiconductor Channel Transistor DRAM)
本技術では、製造プロセスを工夫して、高集積化に有利な縦型トランジスタを実現しました。また、酸化物半導体を用いたトランジスタの特徴を引き出し、極めて少ないリーク電流も実現しました。
これにより、AIやポスト5G情報通信システムで利用される大規模メインメモリが搭載されるサーバーやIoT製品などの幅広いアプリケーションにおいて低消費電力化を実現する可能性があります。尚、本開発成果は台湾南亜科技社との共同開発にて得られたものです。
2.大容量クロスポイント型MRAM技術
本技術では、大容量化に適したセレクタ(選択素子)と磁気トンネル接合を組み合わせたセル技術と、クロスポイント型アレイの微細加工技術を適用し、MRAMとして過去最小のセルハーフピッチ20.5ナノメートルにおいて、セルの読出・書込動作を実現しました。
また、セルの微細化に伴いメモリ信頼性が劣化する課題がありますが、セレクタの過渡応答を活用した新たな読出方式と読出回路の寄生容量を低減することにより、この課題に対する解決策を提示しました。AIやビッグデータ処理向けに、本技術の実用化開発を進めていきます。本開発成果は韓国SK hynix社との共同開発にて得られたものです。
3. 水平セル積層構造による次世代3次元フラッシュメモリ技術
本技術では、従来は垂直方向にNAND型セルを連ねた構造に対して、NAND型セルを水平方向に配置し積層した新しい3次元構造を開発しました。従来構造では積層数を増加させるとNAND型セル性能が劣化する課題がありますが、本構造によりNAND型セル性能の劣化を抑えることに加え、信頼性を改善させることが期待されます。
本構造を用いることで、高いビット密度と信頼性を備えた3次元フラッシュメモリを低コストで実現することが可能です。
■技術的意義と将来展望
これらの技術革新は、以下のような課題解決に貢献することが期待されます。
データセンターの電力消費効率化
AI処理能力の向上
ストレージシステムの大容量化
IoTデバイスの性能向上
各技術は、それぞれの記憶階層で特有の課題に対応し、次世代のデジタルインフラストラクチャーの基盤となる可能性があります。
各技術の詳細については、学会で発表された後に改めて記事にしたいと思います💡
■まとめ
3つの革新的メモリ技術が国際会議で発表
各技術は異なる記憶階層の課題解決に貢献
AIとビッグデータ時代に向けた基盤技術を確立
国際的な企業間協力による研究開発の成果
低消費電力化と高性能化の両立を実現
この記事が勉強になったよという方は、スキお待ちしています!
今後も、半導体やテクノロジーに関する分かりやすい記事をお届けしますので、見逃したくない方はフォローも忘れないでくださいね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
#メモリ技術 #AI開発 #半導体 #DRAM #フラッシュメモリ
■専門用語解説
DRAM:Dynamic Random Access Memory。主記憶装置として使用される揮発性メモリ
MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory。不揮発性の磁気抵抗メモリ
SCM:Storage Class Memory。DRAMとフラッシュメモリの中間的特性を持つメモリ
BiCS FLASH:キオクシアの3次元フラッシュメモリ技術
セレクタ:メモリセルの選択を制御する素子
磁気トンネル接合:MRAMの記憶素子として使用される構造
NAND型セル:フラッシュメモリの基本構造単位
リーク電流:半導体デバイスで発生する望ましくない電流
参考文献
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