発表日:2024年4月9日
概要
KIOXIA(旧東芝メモリ)は、トランジスタのゲート絶縁体に強誘電体HfOを利用したFeFETにおいて、界面層にメタルと窒素を添加したTrap controlled interfacial layer(TCIL)を導入することでサイクル耐性を改善しました。
以下にKIOXIAの公式HPの発表を引用します。
解説
どのような製品でも避けられないのが経年劣化の問題です。初期においては高い特性を出していてもそれが時間経過とともに、低下していくことはある程度避けられませんが、Sustainableな社会を実現するためには、できるだけ長寿命にする必要があります。
分かりやすい例で言えば、購入時は最高速度150 km/hでも、1年後に最大50 km/hになる車はSustainableではありません。それならずっと最大100 km/hが維持される方がサイクル耐性が高いという意味でよい車になります。
この発表では、界面においてサイクル耐性を低減する低誘電体層の形成を金属を入れることにより(この金属の種類は明らかにされていない?)阻害することに成功したとのことでした。
界面あるところに欠陥あり
太陽電池もそうですが、界面を制するものは性能向上を制すると言えそうです。これからも界面制御には技術的なブレイクスルーが多く隠されていそうです。
それでは!
参考文献
界面層へのメタル添加により電荷トラップと分極を制御した高サイクル耐性FeFET | KIOXIA - Japan (日本語)
[1] K. Suzuki et al., “High-Endurance FeFET with Metal-Doped Interfacial Layer for Controlled Charge Trapping and Stabilized Polarization”, IEDM, 35-5 (2023).