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大阪産業大、ナノ秒紫外レーザーで太陽電池向け超微細ナノ構造を形成✨

発表日:2024年7月11日

シリコン太陽電池の効率を飛躍的に向上させる技術が、大阪産業大のグループから発表されました🎉。草場光博教授を中心とする研究グループは、ナノ秒紫外レーザーを駆使して、シリコン太陽電池の表面に20 nmという極小のナノドット構造を高密度に形成することに成功。

この技術は、太陽電池の反射率を劇的に低減し、変換効率を大幅に向上させる可能性を秘めています🌞。


ナノ秒紫外レーザー技術の詳細🔬

ナノ秒紫外レーザーは、ナノ秒(10億分の1秒)という非常に短い時間に高エネルギー密度のパルスを発するレーザーです。このレーザーは物質に対して局所的な融解や蒸発を引き起こし、極めて微細な構造を形成することができます。

レーザーについてはこちらの記事で詳しく説明しているので、良ければ読んでみて下さい👇

代表的な例として、KrFエキシマレーザーがあります。このレーザーは波長が248 nmと短波長であるため、シリコン表面の微細加工に特に適しています。短波長のレーザーはシリコンのバンドギャップよりも高いエネルギーを持っており、光子吸収による局所的なエネルギー供給が可能です。

今回の研究では、このKrFエキシマレーザーを用いてシリコン太陽電池表面にナノドット構造を形成しました。このレーザーは、発振波長が248 nm、パルス幅が20 nsと非常に短く、高い精度で微細な構造を作り出すことができます。

太陽電池技術についてはこちらの記事で詳しく説明しているので、興味ある方は読んでみて下さい👇

この技術により、シリコン太陽電池の表面には、レーザーの波長を大幅に下回るサイズの20 nmというナノドット構造が生成されました。このナノドット構造は、従来の技術では難しかった極めて小さいサイズのため、太陽電池がより多くの光を吸収し、エネルギー変換効率が向上します⤴️。

さらに、このナノドット構造は、レーザー照射によってシリコン表面に圧縮応力を与えるため、バンドギャップの制御が可能になり、量子閉じ込め効果を通じて太陽電池の効率を一層高めることが期待されます。

ナノドット構造形成の概略図(引用元:https://www.osaka-sandai.ac.jp/fc/topics/eic/17928/)

シリコン太陽電池の反射率を5%に低減📉

研究グループは、シリコン太陽電池の表面に形成されたナノドット構造が、太陽光の反射率を約5%まで低減させることを確認しました。従来のシリコン太陽電池は、表面に1~10μmの大きさのピラミッド構造を形成して反射率を抑えていましたが、今回の技術では、より小さいサイズのナノドット構造を用いることで、さらに反射率を低減することができました。

反射率の低減率に対する表面粗さの効果。表面粗さが23.5 nmから60 nmに増加することで、より大きな反射率が得られていることが分かる。(引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/amadareport/35/0/35_93/_pdf/-char/ja)

また、研究では、このナノドット構造シリコン太陽電池の結晶性を保持しつつ形成されることも確認されています。これにより、長期間にわたって安定した性能を維持できるシリコン太陽電池の開発が可能になります💡。

今後の展望とSociety 5.0への貢献🌍

この技術は、Society 5.0の実現に向けた重要なステップとなります。特に、短時間で大面積にわたってナノドット構造を形成できるこの技術は、太陽電池だけでなく、他の固体材料にも応用が可能であり、さまざまな分野での革新を促進する力を持っています。

また、今回の研究は、今後のさらなる微細構造の開発にも大きな影響を与えるでしょう。シリコン太陽電池の反射率低減と高効率化は、より多くの再生可能エネルギーを利用するための鍵となり、環境負荷を低減しつつ、エネルギー問題の解決に貢献することが期待されています🌱。

現在の課題と未来の展望🛠️

この技術にはまだ課題が残されています。例えば、ナノドット構造の均一性や、大面積への適用が課題となります。また、ナノ秒レーザーのコストやエネルギー効率の最適化も求められます。しかし、これらの課題が克服されれば、シリコン太陽電池の性能向上だけでなく、新たな光エレクトロニクスの分野でも革命的な技術革新が起こるでしょう。

今後の研究では、より均一なナノ構造の形成や、新しいレーザー技術の開発が進められることが予想されます。また、他の材料との組み合わせによる新しいデバイスの開発も期待されています。

まとめ✨

  • シリコン太陽電池の効率向上を目指した新技術

  • ナノ秒紫外レーザーによる超微細構造の形成

  • ナノドット構造で反射率を5%に低減

  • バンドギャップの制御で高効率化を実現

  • Society 5.0に向けた次世代技術として期待

この記事が勉強になったよという方は、スキお待ちしています🥰

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ハッシュタグ🏷️

#シリコン太陽電池 #ナノ秒紫外レーザー #量子閉じ込め効果 #バンドギャップ制御 #クリーンエネルギー

専門用語解説📚

  • ナノ秒紫外レーザー: 非常に短い時間(ナノ秒)で放射される紫外線レーザー。微細な構造を高精度で形成することが可能。

  • ナノドット構造: ナノメートルサイズの微細な突起状の構造。光の吸収効率を高め、反射率を低減する効果がある。

  • バンドギャップ: 材料が光を吸収するために必要な最小エネルギーの差。これを制御することで、太陽電池の効率を向上させることができる。

  • KrFエキシマレーザー: 紫外線を発振するレーザーの一種。高精度な微細加工に使用される。

  • 量子閉じ込め効果: ナノサイズの構造で起こる物理的な効果で、材料の光学特性を向上させる。

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/amadareport/35/0/35_93/_pdf/-char/ja


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