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マツダが追加投資を発表!
あらゆる電子機器に搭載される半導体だが、電動化やADAS(先進運転支援システム)の搭載により、進化を遂げる自動車も半導体の主要アプリケーションのひとつだ。そのため、自動車業界における設備投資も半導体産業に与える影響は大きい。自動車生産拠点の周辺には、車載電装機器を生産するティアワン企業が集積するとともに、半導体・電子部品メーカーの集積も進んでいる。
マツダは13日、タイに50億バーツ(約1億5,000万米ドル)を追加投資し、新たな小型多目的車(SUV)の生産体制を整備すると発表した。毛籠勝弘社長兼CEOが同日、バンコクで行われたタイのペートンタン・シナワット首相との会談において明言した。
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生産台数は年間10万台目標
生産されるのはハイブリッド車(HV)となる見込み。毛籠社長は「電動小型SUVに投資することは重要な前進であり、xEV生産への段階的な移行を開始するもの」と強調。「50億バーツの追加投資により、マツダはタイを電動小型SUV製品の生産拠点として確立することを目指す」と述べた。
拡張された生産施設で生産されるのは、タイ国内および輸出市場向け。「生産される車両は、環境性能とハイブリッド技術の両面で国際基準を満たす高性能な小型SUVとなる。この大規模な総合生産投資は、国内販売および日本やASEAN諸国など他国への輸出をサポートするもので、年間10万台の生産を目標としている」(毛籠社長)。
日本企業による投資の可能性
タイ投資委員会(BOI)のナリット・タートサティーラサック長官は「今回のマツダによる投資は、タイを自動車産業の全分野における製造拠点とするための重要な一歩となる。ハイブリッド技術を含め、自動車産業における電動化を支援するタイの政策を後押しするものだ」と話す。同長官は国家電気自動車政策委員会(EV委員会)の事務局長も務めている。「今回の投資は、自動車産業だけでなく他の産業分野においても、日本からタイへの直接投資を後押しする」と話した。
マツダはタイ国内に2つの生産工場を持っている。ひとつは1995年に設立された米フォードと合弁によるオートアライアンス・タイランド(AAT)で、タイ国内および輸出向けの乗用車と商用車を生産している。もうひとつが、2015年に設立されたマツダ・パワートレイン・マニュファクチャリング・タイランド(MPMT)で、エンジンとオートマチック・トランスミッション・システムを生産している。
今回の追加投資は、AATとMPMT両工場において、将来の電動化商品をサポートするための車両生産・組立ラインの強化、エンジン、オートマチックトランスミッション、パワートレインの生産、およびバッテリーを含む電動化車両の主要部品の生産などに重点を置く。「生産能力の強化とともに電動化技術をサポートするため、現地サプライヤーネットワークの開発にも取り組み、タイの自動車産業と経済の発展に大きく貢献していく」(毛籠社長)とし、サステナブルへの取り組みも強化していく。
力強い成長の可能性
タイBOIは先月、24年の投資促進申請額が35%増の1兆1400億バーツ(330億米ドル)に達し、14年以来の高水準に達したと発表した。自動車・部品セクターは309プロジェクト、総額1,024億バーツと申請額で第3位となった。
タイは長年、自動車産業の集積地であり、23年には製造業者として世界第10位、東南アジア第1位にランクされた。近年、タイ政府は電動化への投資促進に力を入れており、補助金や減税などの政策も実施。以来、タイは電気自動車(EV)やHV関連の投資が増加傾向にある。