ギャグマンガ・4コママンガ千冊 49〜64冊目 『とっても!ラッキーマン』 全16巻 感想
宇宙一ついてない男・追手内洋一が、宇宙一ツイているヒーロー・ラッキーマンと合体し、地球の、さらには、宇宙の平和を運だけで守ろうとするお話。
93年から97年の連載で、その期間はちょうど私が小学生の頃であり、リアルタイムで読んでいたマンガである。そして、人生で初めて全巻を購入したマンガでもある。新刊が発売されるたびに、おこづかいで買っていき、全巻揃えた思い出のマンガだ。小学生以来読んでいなかったので、25年ぶりの再読となった。
読者からヒーローや宇宙人のアイデアをどんどん募集して、それらをガンガン登場させていくんだけど、まあそれぞれのキャラが個性的で面白い。もちろん、読者の投稿を元にして作者が多少の変化を加えていると思うが、どのキャラも魅力的で、「このキャラはどんな能力を持っているんだろう」「どんな特性なんだ」とワクワクさせてくれる。キャラをキメキメのカッコいいものにしていなく、ひと癖あったり、単純なものだったり、しょーもなかったりする。たとえば、おやじブリーフマンとか、なんだコイツって感じだし、ヘイ!カマンとか、「ヘイ!カマン!」って叫んでるだけだし、しょうもないが笑えるキャラがいる。その一方、勘ピュータマンは鋭い勘を頼りになんでも予測してしまうという特性で、いいキャラしてる。猛トレーニングマンは、もちろん猛トレーニングをしているので強いんだが、なんでも努力をして強くなる努力マンというメインキャラもいて、キャラがモロ被りである。でも、その二人が対峙する局面が用意されていて、続きを読むのが待ち遠しくなる。展開や演出でこちらの興味をバビョーンと惹きつけてくれる。
はじめ、地球の平和を守るために戦っているのだが、そのうち、宇宙を守るために戦うことになる。宇宙を支配しようとする敵と戦うのだが、その敵の名が世直しマンっていうのが面白い。その後、能力者バトル漫画お約束の、いわゆる天下一武道会が開かれる。H-1グランプリという。もちろん、宇宙規模のだ。ここでも、様々なヒーローが登場する。今度は、その最中に、この宇宙には裏宇宙ってのがあって、そちらの勢力が攻めてきて、自分たちの宇宙を支配しようとしているというので、裏宇宙の勢力と戦うことになる。そしてその後、この宇宙は自分たちがいる宇宙だけでなく、他に15もの宇宙があって、これら16もの宇宙を合わせて大宇宙として成り立っていることがわかる。大宇宙を統べる大宇宙神が死んでしまったので、次期大宇宙神を定めることになる。大宇宙神の座を争って、16の小宇宙それぞれの神に指名された代表者たちがトーナメント形式で競い合うことになる。と、次第にスケールが大きくなっていく。でも、能力者バトル漫画にありがちな、強さのインフレが起こらない。なぜなら、始めっから最後まで、主人公が運だけで勝つからだ。強さのインフレが気にならない、起こらない漫画って、なかなかないと思うんだよね。それが、ラッキーマンのおもしろさだと思う。
あと、ラッキーマンを読んでいて面白いのは、モブキャラのツッコミだ。ストーリーや演出、キャラの不自然さや整合性のなさについて、ちっちゃな字でモブキャラがツッコんでいるのがおかしくて笑える。ほんとにちっちゃくて、読めないこともある。また、ヒーローの背中には本音が文字で書かれていることがある。枠で囲まれたその中に本音が書かれている。これもまた、読むのが面白い。これも字がちっちゃくて読めないことがある。メタ視点からのツッコミが、ちいさくさり気なく書き込まれているのも面白さのひとつだ。サイコ〜!
途中から、ラッキーネットワークという特集記事が毎話につくようになるけど、これを読むのも愉しい。なんというか、学級新聞などを読んでいる感覚で読めて、様々な特集や募集企画があるので、読んでいて飽きない。
次から次へと場面が展開していって、キャラも魅力的だし、今読んでも本当に面白いマンガでした。思い出補正も効いているだろうけど、やっぱり傑作だと思います。勝利マン、友情マン、努力マン、天才マン、スーパースターマンなどのヒーローは名前も見た目も単純だけどはっきりしていて面白いし、ストーリーもよくあるやつなんだけど演出が面白い。展開をコネコネしたり、ストーリーを難しくしたりと変に凝らずに、単純明快でそれでいて楽しいっていうのが、ラッキークッキーやっぱスキー!
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