『蔵造り編』の企画検討
出版社を起業しようと考えた時に、出版企画を複数考え、それらの発行優先順位も含め、検討していたことがある。
出身地「川越」の建物を紹介する「川越の建物」シリーズには、企画の段階では複数の候補があり、その中に『近代建築編』や、『蔵造り編』が含まれていた。
「川越の建物」シリーズは、建物をやさしく紹介し、建物や地域への興味を深めることを目指す。
本シリーズの『蔵造り編』についても、既存の本との違い、蔵造りをどのように紹介するかについて、そのアプローチの方法について検討を重ねていた。
これまで「蔵造り」について書かれた本は多いものの、一般的な内容で、各建物について調べ、個別に新たな情報を盛り込んで紹介する本はかなり少ない状況であった。
仙波書房としては、総論的な紹介ではなく、各論的に蔵造りをやさしく紹介する建物本を目指そうと考えていた。
そのためにはどのように紹介すべきなのか。
前作『川越の建物 近代建築編』では、建物ごとに取材を行い、建物に関する資料、関連の話をまとめ、掲載した。
川越に住んでいた経験からの見方と、隣接する街から少し離れて見た川越の見方とを、組み合わせた本文で、川越の魅力を読者に伝えるよう努めてみた。
それと、建物にまつわる雑学話や、川越の文化、観光名所など、読み物としても楽しめるように配慮も行った。
また、イラストも水彩画、ペン画と既存本にある手法ではなく、これまでにないアニメーション制作会社によるイラストを採用と、新しい手法と見せ方を検討してみた。
過去にない紹介の方法は、読者や、街の人々に受け入れられるか、かなり不安であったが、反応は思った以上に悪くなく、これを踏襲し、今作の『川越の建物 蔵造り編』を進めることにした。
さらに、前作では「建物紹介部分の本文をもっと読みたい」という読者からの声も届いたことから、今作では建物紹介の本文を前作の倍近くに増やし、その代わりに前作にあった付録部分のエッセイを外すことにし、本編を拡張した。
今作は建物1箇所を6ページから10ページで写真、イラスト、資料を掲載し、18箇所の蔵造りを紹介する。
取材、資料上の話の他、関連する雑学的な情報を前作以上に盛り込み、建物への興味を促す。
それから、前作で好評だったアニメーション制作会社によるイラストは公開も継続して採用。
川越を舞台にしたアニメーション作品『月がきれい』制作のfeel.さんの協力で、タッチ、空気感と素敵な建物イラストを本書内に掲載する。
『川越の建物 蔵造り編』は9月30日発行。
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